これまで調査研究を行った事例について、地域における交流活動や観光振興を4つの段階に分類し、研究を進めた。これまで継続的に行ってきた、「生協、生協に準じた団体との産直提携に端を発する交流活動の深化」に加え、「一村一品運動、101村展、ふるさと食品」の展開」部分にかかわりの深い地域についても調査を行った。 2018年6月に、大分県日田市大山町にてヒアリング調査を行い、また、1970年代から都市農村交流を開始し、1990年代にそばを核とした地域振興を他地域も巻き込んで展開した、富山県南砺市利賀地区のこれまでの経緯を詳細に分析した。大山町は大分県で展開された一村一品運動の元祖ともいわれ、1960年代から山間部のために稲作に頼らない農業を目指し、梅、栗などの果樹栽培に重点を置いた。3つの段階のNPC運動があるが、それらはそれぞれ異なる目的で行われ、まず経済的な成長を目指し、次の段階で人づくりを深め、そのうえで地域の住環境整備をはかってきた。その推移を整理し、同様に農業協同組合が大きな力を持って展開してきた山形県遊佐町の動きと比較した。4つの段階ごとの社会的背景は共通するものの、農業事情が特に重点を置くものが稲作と果樹農業ではその規模等も異なるが、その発展段階には多くの共通点を明らかにすることができた。 山形県遊佐町の取組みについては、近年注目されている社会的連帯経済との関連性について検討した。国際学会で発表し、生産者と消費者が共に米の価格を決定する共同開発米の仕組みについて、深い関心が寄せられた。
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