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2020 年度 実績報告書

抽象の問題を軸とした初期近代における数学と哲学の相互交流に関する数理哲学史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K02113
研究機関富山大学

研究代表者

池田 真治  富山大学, 学術研究部人文科学系, 准教授 (70634012)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2021-03-31
キーワード抽象 / 概念形成 / 数理哲学史 / 初期近代 / 近世哲学 / デカルト / ライプニッツ / スコラ哲学
研究実績の概要

最終年度(2020年度)は、17世紀スコラからライプニッツに至るまでの抽象概念の受容と変容について研究した。
2019年度より継続してきた「抽象と概念形成の哲学史」研究会の成果を問うべく、日本哲学会・哲学オンラインセミナー共催のワークショップ「抽象と概念形成の哲学史──古代から現代へ」をオーガナイズし、これを連続講演として実施した。そして同研究会のこれまでの成果として『抽象の理論をめぐる哲学史──古代から近代まで──』を研究報告論集として出版した。
自身の研究成果としては、まず、バロック期の科学方法論および自然哲学というより広い観点から、「ポスト・デカルトの科学論と方法論」について整理する機会を得て、これを出版した。これは、初期近代における「抽象の問題」を、中世スコラのアリストテレス主義との連続性および非連続性の観点から考察する上でも本課題と大きく関連し、17世紀当時の抽象をめぐる哲学思想というコンテキストを解明する研究へと導くものとなった。
その研究成果の一つとして、「17世紀スコラ哲学における抽象の概念」について論文をまとめ、また学会でも発表した。本稿では、スコラにおける抽象の多義性と近世におけるその単純化・通俗化という非連続性と、「精神の抽象」という規定の連続性を確認することができた。
また、これに継続する成果として、デカルトの抽象理論を体系的に整理し、さらにその前後の文脈と比較考察した論文、「デカルトの抽象理論:近世スコラ哲学およびデカルト派の論理学との比較を通じて」を執筆した。そこでは、スコラの抽象の概念を解体し、それまで抽象の概念に組み込まれていた「排除」を実在的区別を導く精神の操作として識別したところにデカルトの独自性を確認するとともに、デカルト派論理学において抽象がもつ学問への積極的側面が再び評価され、スコラの抽象理論とデカルト哲学の折衷をそこに見出すことができた。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件) 備考 (5件)

  • [雑誌論文] 17世紀スコラ哲学における抽象の概念2021

    • 著者名/発表者名
      池田真治
    • 雑誌名

      抽象の理論をめぐる哲学史──古代から近代まで──

      巻: - ページ: 50-62

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] デカルトの抽象理論:近世スコラ哲学およびデカルト派の論理学との比較を通じて2021

    • 著者名/発表者名
      池田真治
    • 雑誌名

      抽象の理論をめぐる哲学史──古代から近代まで──

      巻: - ページ: 63-119

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 17世紀スコラ哲学における抽象(abstractio)の概念2021

    • 著者名/発表者名
      池田真治
    • 学会等名
      日本ライプニッツ協会・春季大会
    • 招待講演
  • [学会発表] ライプニッツにおける幾何学的概念の構成と起源──ライプニッツの幾何学の哲学から始まる新しい幾何学的認識の哲学の可能性2020

    • 著者名/発表者名
      池田真治
    • 学会等名
      稲岡大志『ライプニッツの数理哲学』合評会(日本ライプニッツ協会・哲学会共催)
    • 招待講演
  • [図書] 抽象の理論をめぐる哲学史──古代から近代まで──2021

    • 著者名/発表者名
      池田真治(編著);酒井健太朗、アダム・タカハシ、浅野将秀、五十嵐涼介、木本周平、Jimmy Aames(著)
    • 総ページ数
      176
    • 出版者
      [※本研究課題に基づく研究報告論集]
  • [図書] 『世界哲学史5』(第七章「ポスト・デカルトの科学論と方法論」)2020

    • 著者名/発表者名
      伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留(編);池田 真治(第七章を分担執筆)
    • 総ページ数
      307+xxvii(pp. 189-222の34ページ担当)
    • 出版者
      ちくま新書
  • [備考] Researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/shinjike

  • [備考] 研究ブログ(Researchmap):「抽象と概念形成の哲学史──古代から現代まで──」

    • URL

      https://bit.ly/3uAuPO0

  • [備考] 資料公開(Researchmap):「抽象と概念形成の哲学史──古代から現代まで──」

    • URL

      https://bit.ly/3i1ios5

  • [備考] 個人ブログ:「labyrinthus imaginations」

    • URL

      https://theseus.hatenablog.com

  • [備考] 個人ホームページ:「labyrinthus imaginations」

    • URL

      https://sites.google.com/site/labyrinthusimaginationis/

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公開日: 2021-12-27  

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