研究課題
自律尊重原則についての従来の理解を検討し直し、認知症の進行過程においても本人の思いと自律が生活の広い分野で尊重されるような支援をめざし、ケアの専門職の倫理的対応力の向上に理論的な基礎を提示するという課題に取り組んだ。1.認知症ケアの現場で発生している困難なケースをモデル化して、倫理的・法的な考え方と対応のポイントをまとめた『ケースで学ぶ 認知症ケアの倫理と法』を2017年3月に刊行した。具体的なケースから出発して、認知症ケアの倫理的法的問題についての基本的な考え方を示すことができた。2.判断力が低減した人の意思について、その捉え方、意思決定支援のあり方、成年後見制度の活用などの観点から理論的検討を重ね、その研究成果を著書、論文、学会等で発表した。専門職や市民をまじえた公開シンポジウムを開催し、ケアの専門職の倫理的対応力の向上のための理論的な基礎を提供することができた。3.本課題をグローバルな視点から研究するため、ドイツから専門家を招聘し、認知症ケアについての情報を日本の専門職とも共有することを目指し、公開講演会を開催した。4.ケースブックを教科書として使用した養成教育のなかで、学生に対してアンケート調査を実施し、その教育効果を確認できた。5.ケースブックを倫理的・法的配慮をより深めたものにするため、認知症高齢者の臨床経験豊かな老年医学者を招聘し、今後の改訂作業に向けて貴重な助言と指導を受けることができた。
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生命倫理・生命法研究資料集
巻: 5 ページ: 1-11
http://life-care.hss.shizuoka.ac.jp/
民事判例
巻: 20/2019年後期 ページ: 74-77
認知症ケア
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臨床薬理
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静岡大学教育学部研究報告(教科教育学篇)
巻: 51 ページ: 67-82
doi/10.14945/00026957