研究課題/領域番号 |
16K02134
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
哲学・倫理学
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
矢嶋 直規 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (10298309)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ヒューム / 近代哲学 / 経験論 / 自然神学 / バトラー / 常識学派 / 蓋然性 / 合理論 |
研究成果の概要 |
ヒューム哲学は大陸合理論が展開した合理主義を源泉とし、道徳感情学説の影響のもとで展開し、トマス・リードらの常識哲学へとつながる。本研究ではヒューム哲学を合理論と感情論の二方向から再検討し、ヒュームが単純な懐疑主義者ではなく、常識哲学に通じる理性主義と自然神学の批判者として位置付けられることを明確にした。ヒュームの自然主義の背後には、クラークとバトラーの自然神学論争が存在する。本研究ではとりわけヒュームに大きな影響を与えた経験主義的神学者であるジョゼフ・バトラーとヒュームの関係に焦点を当て、経験主義道徳哲学と常識哲学の成立過程を解明した。
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自由記述の分野 |
哲学・倫理学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ヒューム哲学は懐疑主義とみなされているが、懐疑主義の意義は、日常的な信念の重要性を裏付けることにある。とりわけ重要な日常的信念とは科学的知識というよりも、宗教的信念であり、ヒュームは懐疑主義によって健全な宗教的信念の哲学的基礎とともに、健全な宗教的信念が確保され、社会に共有される仕方として哲学的対話のモデルを提示した。 この研究では、これまで英国経験論はロックから始まり、ヒュームにいたる懐疑主義の展開の過程とみなされることが多かったが、ヒュームは懐疑主義を最終的な立場としたのではなく、情念論や道徳論では常識の立場を擁護し、リードによって展開される常識哲学の基礎を据えたとする見方を提示した。
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