研究課題/領域番号 |
16K02141
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
村田 純一 立正大学, 文学部, 教授 (40134407)
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研究分担者 |
柳澤 田実 関西学院大学, 神学部, 准教授 (20407620)
板橋 勇仁 立正大学, 文学部, 教授 (30350341)
田口 茂 北海道大学, 文学研究科, 教授 (50287950)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 宗教 / 科学 / 倫理 / 儀式 / 認知科学 / 仏教 |
研究実績の概要 |
本年度も、公開で3回の研究会を行うとともに、研究会での議論を通して、これまでの研究成果を振り返ることを行った。 2018年6月29日には、台湾の東海大学の哲学科のWei-Hung YEN准教授をお招きして、「初期中国中観派と仏教倫理学」と題した講演を行っていただいた。とくに、Sengshao(僧肇)における知者の持つ倫理的含意とJizang(吉蔵)哲学の持つ倫理的含意について発表いただいただき、これらの仏教倫理学が、日常性と宗教の関係について、西田哲学の宗教観を理解するうえでヒントになることが議論された。 2018年8月29日には、東京大学の高橋宏知講師をお招きして「宗教を生み出す脳のメカニズム」と題した発表を行っていただき、とくに宗教意識は脳における負担軽減の目的のために発生したという見解に関して議論した。こうした現代において脳科学や認知科学、そしてさらには人類学などの分野でなされている宗教を分析対象とした研究のあり方をさらに理解するために、2018年12月16日には、立教大学准教授のChristopher Kavanagh氏をお招きして「Ritual and Religion Quantified: Exploring the value of cognitive and evolutionary approach to religion」と題する発表を行っていただいた。この発表では、宗教に関する現代の認知科学的アプローチの紹介とともに、特に宗教儀式の持つ社会的アイデンティティの確立や社会的結びつきの形成の役割が示された。この会では同時に、宗教における社会的結合の形成の役割に関連して、研究分担者の柳澤氏から、宗教的な倫理と世俗的倫理との対比という観点から、倫理の基礎を形成する宗教という見方についての発表がなされ、宗教と倫理の関係をめぐって議論を深めることができた。
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