研究課題/領域番号 |
16K02142
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
吉武 久美子 東京工科大学, 医療保健学部, 准教授 (90468215)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 倫理リスク / 合意形成 / コンサルテーション / ファシリテーション |
研究実績の概要 |
本研究「生命と健康に関わる倫理コンサルテーションの価値構造についての研究」は、医療における倫理的問題解決のための「倫理コンサルテーション」のもつ倫理的価値の構造を明らかにすることを目的とする。 平成29年度は、倫理コンサルテーションに含まれるコミュニケーションの構造を考察することを課題とした。研究代表者は、日本の医療施設における倫理コンサルテーションの現状について、医療現場の現状や学会等での報告を通じて、依頼する内容は、多岐にわたっていて、施設による差にも大きいことを把握することができた。また、国内ではどのような案件をコンサルテーションに依頼したらよいか明確でないことにくわえて、コンサルテーションから戻ってきた返答をいかに実践に組み込むかということも明確でないことも理解することができた。このような現状から、コンサルテーションに依頼する前の段階で、コンサルテーションに依頼するかどうかも含めて、当事者である医療者同士で、問題解決にむけて最善策を探し続けるためのファシリテータの役割とその分析が非常に重要であるという認識に至った。すなわち、倫理コンサルテーションにおけるコミュニケーションの価値構造を分析する上で、ファシリテーションの分析も含まれなければならないという研究の方向性に気づくことができた。 そこで、今年度は、倫理コンサルテーションの前の段階として、ファシリテーションのコミュニケーションの構造について、和辻哲郎の『倫理学』に含まれる空間と時間の概念を用いて、両者の視点から分析を行った。本研究の成果は、第13回日本感性工学会春季大会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、倫理コンサルテーションに含まれるコミュニケーションの構造を考察することであった。研究の方向性として、日本の倫理コンサルテーションのコミュニケーションの構造を考察する上で、医療従事者たちのファシリテーションのコミュニケーションの構造を分析することが必要であることを見出すことができた。また、ファシリテーションの構造の特徴を空間と時間という視点からも示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の目的は、「日本の倫理コンサルテーションの価値構造」を考察することである。日本の医療現場では、コンサルテーションとファシリテーションがどのような関係をもちやすいのかについて分析をすすめる。さらに、医療現場でファシリテーションを担いやすい看護職に求められる能力、ファシリテーションを含む倫理教育のあり方についても展開していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、研究の方向性を年度途中で検討したため、当初、国際学会に参加予定であった内容を変更した。そのため、今年度は国際会議の参加を見送ることになり、国際会議参加のための予算が余った。 次年度では、余った予算は、研究成果の報告のために、国際会議参加のための旅費、学会参加費、および雑誌掲載の登録料等の費用として使用する。
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