現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画は、実験パラダイム(本研究では二つの実験パラダイムを用いて研究を遂行する予定であるが、そのうちの一つ)の構築を継続することと、それにもとづいた実験の遂行を主眼としていた。前者については、昨年度作成した実験に用いるビデオデータ等の基本的な道具だてに加えて、脳科学に関する実験パラダイムの設計をおこなった。とはいえ、本研究の実験を本格的に遂行するところまでは、計画が進まなかった。一方で、当初の計画では研究予定期間の後半に行う予定であった計画について予想以上の成果を発表することができた("Body, Technology, and Humanity" in Postphenomenology and Media, "Similarity and Alterity" at 4S/EASST CONFERENCE Boston-2017, "Scientific Technology and Transformation of Humanity" at The 39th Conference of the Phenomenological Association of Japan, "Reducing Risks" at 20th Annual Conference of the Society for Phenomenology and Media)。これらは主として、人間性の自然化可能性と機械の主体性の実現可能性、およびそれらの関係について、主として被傷性(vulnerability)という概念を軸に論究した。そこでは、被傷性、危険といったものを、人間性の本質的契機としての倫理性の前提条件として位置づけ、人間性の変容可能性と不可能性の境界を探った。以上によって、「おおむね順調に研究が進展している」という自己評価を行った。
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