研究実績の概要 |
今年度の当初の計画は、以下の三つのことを遂行することであった。①2016年度より作成している実験パラダイムにそって実験を遂行し、データを収集していくこと、②スポーツ選手の暗黙知に関わる実験パラダイム(サッカーの試合の映像をとり、ゴールに至るまでの直前5秒程度の映像を抽出する。その映像データの解析と行為者本人による言語的記述分析を行う)を構築し、実験に着手すること。ここで集めたデータについては、NVivo 11 Proによって構造化し、現象学や心の哲学の観点から分析を行う。③現象学の概念と心の哲学による他者論との比較、認知科学的スキルサイエンスやエスノメソドロジーなどを参考に、暗黙知や人間性の自然化、機械の主体性などを、「被傷性」概念等を手がかりに論究すること。①については、被験者30人を対象としてデータを採ることを目標にしていたが、現在15名(作業療法士6名と比較群9名)については、脳波データを含めて完了している。残りについては、作業療法士が多く在籍する長岡病院と提携し、脳波を含めたデータ収集を行うことになっている。②については、やや遅れており、実験パラダイムを作成し、プレ実験を行った。③の概念的研究に関して、人間と人工物(たとえばロボットや人工知能)との関係に焦点をあてて、技術の進歩と人間性の変容について考察した。以上の成果は、国際学会(Society for Social Studies of Science Annual Meeting 2018, INTERACCION 2018)での発表、国際ジャーナル論文(AI & SOCIETY)、国際共同研究などとして公表した。
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