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2021 年度 実績報告書

不幸の哲学的研究―経験的知見の分析に基づく、福利の否定的側面の理論的検討

研究課題

研究課題/領域番号 16K02148
研究機関名古屋大学

研究代表者

鈴木 真  名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (30536488)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2022-03-31
キーワード個人的価値 personal value / 福利・厚生 well-being / 禍・不幸 / 福・幸福 / 個人間比較 / 倫理学 / 価値実在論 / 自然主義
研究実績の概要

2021年度にはコロナ禍がまだ続いていたが、既に1年間本課題を延長していたので、できる限り区切りをつけるために精力的に活動した。結果として、研究の焦点が禍(不幸)と福(幸福)の区別の可能性とその区別の含意の検討という論点からは少しずれてしまったが、正と負両方の側面を含む福利と個人的価値について、本研究の課題となっていた問題について業績を出すことができた。
論文「福利主義をのりこえて――個人的価値主義と福利の位置づけ(2)」においては、主体に相対的な価値としての個人的価値 personal valueと福利 well-beingをどう区別するかという問題に一定の回答を提示した。そのうえで、福利だけでなく単なる個人的価値をも倫理的に考慮に入れるけれども、両者に違う意義を与えうるような規範的立場を擁護した。
論文「個人的価値についての自然主義的実在論」では、個人的価値性質について、一定のもっともらしい前提をおけば、経験科学による探究が可能なものとして実在するという立場を擁護した。この立場に対して提示されうる反対論についても検討して退けた。
学会発表「個人的価値についての主観説と、「個人間比較」の可能性」では、個人的価値について主観説をとると、その個人間比較や個人間集計が不可能になる(あるいは、それが無意味になる)という趣旨の様々な懸念について検討した。主観説によると個人的価値が依存するはずの心的状態の「量」について、私たちが他者のそれをどれほど正確に知ることができるのか、という実際的な問題と、その問いを調べる際の方法論的問題は難しいものであるものの、個人間比較や個人間集計が原理的に不可能であるとか無意味であるという議論は支持されない、と論じた。本発表は、2022年度に論文として公表する予定である。
今後、昨年度までに出したものを含めて、本研究課題の成果を一冊にまとめて公表したい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 個人的価値についての自然主義的実在論2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木 真
    • 雑誌名

      国際哲学研究

      巻: 11 ページ: 81-96

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 福利主義をのりこえて――個人的価値主義と福利の位置づけ(2)2021

    • 著者名/発表者名
      鈴木 真
    • 雑誌名

      社会と倫理

      巻: 36 ページ: 171-197

    • DOI

      10.15119/00003903

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 個人的価値についての主観説と、「個人間比較」の可能性2021

    • 著者名/発表者名
      鈴木 真
    • 学会等名
      関西倫理学会

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公開日: 2022-12-28  

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