現代フランス現象学を統一的に捉える視座を獲得するために日仏共同研究を行なった結果、その不可欠な背景としてのハイデガー哲学の重要性が確認された。現代フランス現象学の可能性を捉えるためには、ハイデガーとの関係の中でそれを位置づけることが不可避である。ハイデガーとの対決的解明を通してこそ、現代フランス現象学のみならず、デリダ、ドゥルーズ、フーコーなど現代フランス哲学の様々な可能性も開かれてきたし、現在も開かれつある。現代フランス現象学が前提としている西洋哲学史の伝統を再考することも、必然的にハイデガーとの関係を前提としなければならない。こうして哲学史上の諸々の概念について再考することも可能となる。
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