第一に、フランス現代哲学の中で近年翻訳出版を機に新たに注目を集めることになったシモンドンの『個体化の哲学』に注目し、個体化の文脈で主体や人格概念を再検討しようと試みた。まだ論文化は出来ていないが、2019年8月に大阪大学で行なった集中講義でその一端を示しえた。第二に、2019年6月にアンリ・ベルクソンのコレージュ・ド・フランス講義『時間観念の歴史』の翻訳を出版・刊行し、そこに見られる主体・人格概念をハイデガーとの比較において検討しようとした。その端緒は翻訳あとがきに記した。第三に、まだそれほど注目されていない18世紀の文学者レチフ・ド・ラ・ブルトンヌの文学に新たな光を当てようと試みている。
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