今後の研究の推進方策 |
ドイツ啓蒙主義全体の特徴について、W.シュナイダースの『理性への希望』やE.ヴァイグルの『啓蒙の都市周遊』などの研究書を用いて考察する。またスピノザ哲学がドイツ啓蒙主義においてどのように解釈(改釈)されたか、なぜそのような解釈が生まれたのか、スピノザ哲学と所謂「スピノザ主義」とはどのように相違するかを、R.オットーの研究書(Ruediger Otto, Studien zur Spinozare- zeption in Deutschland im 18.Jahrhundert, Frankfurt am Main,1994)やE.シュールマンらによる編集の論集(Eva Schuermann, Norbert Waszek, Frank Weinreich(hrsg.), Spinoza im Deutschland des achtzehnten Jahrhunderts, Stuttgart-Bad Cannstatt, 2002)などを用いて考察する。 その上で1720年代のヴォルフとピエティストとの論争を、ヴォルフの『事物の知的な連結と運命的必然性との、また予定調和説とスピノザ説の差異に関する明らかな研究』、ランゲの『無神論及び無神論を生み、促進する古今の偽哲学、特にストア、スピノザ、ヴォルフのそれに対する、神と自然宗教の大義』などの著作をを中心に考察する。特にピエティストがどのような点においてヴォルフの哲学をスピノザの哲学と同一視したか、これに対してヴォルフが自らの立場とスピノザの立場とをどのように区別したかを平尾昌宏氏の論文(「啓蒙期ドイツのスピノザ主義―ランゲ‐ヴォルフ論争から―」、スピノザーナ5, 2004年所収)などを参考にして解明し、両陣営の批判の要点を明らかにする。
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