本年度の研究実績としては、チベット語訳『妙法蓮華註』の和訳を完成し、その漢文の『法華玄賛』との比定を終了した。その成果については、第1章後半を「チベット語訳『妙法蓮華註』「序品」和訳(2)」として『身延山大学仏教学部紀要』第19号に、第2章後半を「チベット語訳『妙法蓮華註』「方便品」和訳(2)」として『身延論叢』第24号に、第3章を「チベット語訳『妙法蓮華註』「譬喩品」和訳」として『日蓮仏教研究』第10号に発表した。これにより、チベット語訳テキスト全体の日本語訳とそれに対応する漢文の比定を公表した。 翻訳作業と並行して、チベット語訳校訂テキストとして、デルゲ版、チョネ版、ナルタン版、北京版、金写版の校訂テキストを作成し、経典の引用文に従いナンバリングした上で、対応する漢文を並列する作業を行った。このテキストについては、校正作業を行った上で、身延山大学国際日蓮学研究所の『法華経研究叢書』として出版する予定である。 また、前年度に作業を行った内陸アジアにおける『法華経』と『法華玄賛』の伝播に関する研究成果は、立正佼成会において開催された第23回国際法華経セミナーにおいて「The Lotus sutra in the inner Asia」のタイトルで発表を行った。
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