| 研究課題/領域番号 |
16K02162
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| 研究機関 | 北九州工業高等専門学校 |
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研究代表者 |
安部 力 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 教授 (60435477)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| キーワード | イエズス会士 / キリスト教思想 / 利瑪竇 / 台湾 |
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| 研究実績の概要 |
平成28年度研究実績の概要は以下の通りである。
まず、課題名にもある「利瑪竇（マテオ＝リッチ）的規矩」の内実分析のために、リッチが在華当時残した書簡集を基礎資料として読み解き、その訳注を成果として発表した。これは元々の「リッチ資料」がイタリア語・ポルトガル語で書かれており、訳注に用いた資料が中国語版であることを考えれば第二次資料となるが、課題研究の推進上、必須の作業となるため、成果として発表することとした。それが次の文献①である。①単著「マテオ・リッチ書簡集（『利瑪竇書信集』）訳注稿（一）」（安部力、『北九州工業高等専門学校研究報告』第50号、平成29年１月、１４３～１５２頁）
また、マテオ＝リッチが来華した１６世紀（中国明朝末期）の思想界の状況（時代思潮）を把握するために、九州大学で開催されている研究会（『羅近渓文集』輪読会：宋明思想研討会）に継続的に参加した。その成果が文献②の共著「羅近渓『ク壇直詮』訳注（二）」（宋明思想研討会（荒木龍太郎代表、安部力共著）、『活水日文』（活水学院現代日本文化学会編）第58号、2017年２月、63～82頁）である。
このほか、今年度は、昨年度の年始年末に短期間行ってきた現地調査に関連して、「台湾に於ける宗教意識の研究」を「利瑪竇的規矩の現代的展開」として捉えるために、夏季に一ヶ月間の予定で現地調査を行うことにしている。また、更にはその期間内に台湾における関連分野研究者との共同研究も計画している。
上記の三本柱「リッチに関する基礎資料の解読・分析」「明末当時の思想界の状況把握」「現代台湾に於ける宗教意識を利瑪竇的規矩の現代的展開として捉える試み」を中心に研究を推進する予定である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年の２月に心臓疾患を発症し、28年には四度の手術・入院を余儀なくされた。それに起因する体調不良のため、継続的な研究活動ができず、当初の計画より進展が遅れている。ただし、研究課題に関する基礎的な作業には着手し、今後の研究進展のための準備はできている。
28年度は本研究課題の基礎的資料である「マテオ＝リッチ本人の当時の認識」を分析するために、リッチが作成した「書簡集」（羅漁訳著、光啓・輔仁連合出版（台湾））の訳注作業に着手した。これは元々リッチ研究の権威であったパスクワーレ＝デリア師がまとめた「リッチ資料」に収められているものであるが、本課題担当者が目にしたのは「中国語訳版」である。元々の一次資料は、イタリア語やポルトガル語、ラテン語などによって書かれているため、本課題担当者には解読が困難であった。しかし、本研究課題の作業を進める一環として、第二次資料ではあるが、リッチ書簡集の訳注作業により、全体の研究推進に資することが出来ると考えたため、遂行することとしている。
また、明末当時の思想界の状況を分析するためにも九州大学関係の研究者で組織されている「宋明思想研討会」の「羅近渓文集輪読会」に継続的に参加し、その成果を「羅近渓『ク壇直詮』訳注」として発表している。
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| 今後の研究の推進方策 |
平成29年度以降は、まず課題名にもある「利瑪竇規矩」の内実を分析するために着手した「リッチ書簡集」の訳注作業を更に進める予定である。
また、それと並行してマテオ=リッチの方針（利瑪竇的規矩）の現代的展開を考察するために、これまでに行ってきた台湾での「宗教関連施設（特に「カトリック・キリスト教教会（天主堂））」における現地訪問調査（文化人類学的聞き取り調査及び参与観察）を継続する予定である。今年度は約一ヶ月の現地訪問調査を予定しているが、この調査に合わせて、台湾の関連分野研究者との共同研究を開始する予定にもしている。
この他、中国明末当時の思想界（時代状況）への分析を進めるために、九州大学での研究会（主に宋明思想研討会）に継続的に参加する予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
平成２８年２月に心臓疾患を発症し、６月に再手術を行うなど体調不良が続いたため、本来夏季休暇中に行う予定であった台湾での現地調査が行えなかった。そのため、現地調査用費用を繰り越すこととなった。
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| 次年度使用額の使用計画 |
平成２９年度は、昨年度行えなかった台湾での現地調査を夏季休暇中に滞在期間を約一ヶ月取って行う予定である。これによって、昨年度、現地調査が行えなかった研究計画の遅れ分を取り戻し、当初の計画通りに遂行できる予定である。また、滞在予定期間が一ヶ月となることから、現地（台湾の大学）の関連分野の研究者との共同研究も可能となり、有効に使用することが出来ると考えている。
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