研究課題/領域番号 |
16K02176
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
江川 純一 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (40636693)
|
研究分担者 |
山崎 亮 島根大学, 人間科学部, 教授 (40191275)
久保田 浩 立教大学, 文学部, 教授 (60434205)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 宗教学学問史 / イタリア宗教史学派 / 『社会学年報』学派 / 宗教 / 神学と宗教学 |
研究実績の概要 |
2017年度は、まず4月に研究代表者が、ドイツにて宗教学生成期に関する英・仏・独・伊の文献収集を行った。次いで、5月に研究代表者、分担者、研究協力者による研究会を開催した。研究会では、宗教学生成期の代表例としてデュルケームの宗教論を対象とし、デュルケーム『宗教生活の基本形態』(1912年)と、19世紀イギリスの人類学的宗教研究(ミュラー、タイラー、ラング、フレイザー、ロバートソン・スミス)との接続/非接続を再考する必要性を確認した。なぜなら、デュルケームは同書において、ヴィクトリア期の宗教研究を順に取り上げ、それらを発展的に批判することで、自らの宗教論を展開させているためである。この認識を受けて、ヴィクトリア期の人類学的宗教研究の翻訳アンソロジーの出版企画(二巻本)を通過させ、刊行のための準備を開始した。 9月には、日本宗教学会において、エミール・デュルケームを、『社会学年報』学派、イタリア宗教史学、アメリカ哲学から照射するパネル発表「デュルケーム宗教学思想の可能性――没後100年によせて」(山﨑亮「「宗教学者」デュルケームの生成」、江川純一「イタリア宗教史学派はデュルケームをいかに読んだか?」、堀雅彦「デュルケームとアメリカ哲学――その距離と接点」、コメンテーター:竹沢尚一郎)を行った。同パネルでは、宗教論をめぐる『社会学年報』学派内の影響関係、『社会学年報』学派とイタリア宗教史学派の相似と差異、プラグマティズムとデュルケーム宗教論との関わりを明らかにした。 今年度の活動は、『社会学年報』学派の宗教論を体系的に紹介する翻訳企画に生かす予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究会と学会パネル発表を通して、宗教学生成期をめぐる議論が深まっている。論文発表がまだ少ないが、本研究課題の対象となっている書物群の翻訳プロジェクトは順調に進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の課題はアウトプットである。2018年度は二回の公開研究会と、論文発表を予定している。まず、5月に札幌で、神学と宗教学(宗教史学)の線引きの問題に関する研究会を開催する。また、秋には本研究課題の総括として、代表者・分担者・研究協力者全員による公開シンポジウムを行い、宗教学の生成についての知見を深めたい。
|