研究課題/領域番号 |
16K02180
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
芦名 定道 京都大学, 文学研究科, 教授 (20201890)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 自然神学 / キリスト教思想 / 東アジア / 科学技術 / 脳神経科学 / 生命科学 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、社会科学(政治学、経済学、環境学)へと拡張された自然神学を、科学技術論と東アジアの文脈において具体化するという研究目的にむけて、平成28年度の研究を継続しつつ、研究が進められた。研究成果は次の通りである。 1.現代キリスト教思想(自然神学、科学技術の神学、聖書学など)に関連した文献収集を継続的に実施し、現代の思想動向を分析するのに必要な文献を入手することができた。2.収集された文献資料などを参照しつつ、「科学技術の神学」に向けた理論構築を行い、特に、「脳神経科学」「生命科学」に関する具体的な考察を行った。また、東アジアのキリスト教については、これまでの研究成果を論集として刊行した。3.海外でのフィールド調査を実施する代わりに、韓国のキリスト教思想に関しては、韓国のTorch Trinity Graduate Universityの金珍赫(Kim JinHyok)教授を招いて研究会を開催し(「義認と公共――金泰昌の「公共哲学」とマルティン・ルターの「信仰義認論」の対話――」の題で講演いただいた)、情報交換を行った。また、中国のキリスト教思想に関しては、現在、キリスト教学研究室に所属している留学生を通じて、環境神学についての情報を収集し、かなりの程度現状の把握を行うことができた。なお、国内の文献調査は、北海道大学の内村鑑三文庫の調査を予定通り実施し、内村の聖書論について貴重な知見を得ることができた。4.研究内容を紹介するためのホームページを作成し、積極的に研究成果の発信を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者が京都大学で行っている講義(特殊講義)と内容的に関係づけ、また研究代表者が研究会担当となっている「アジア・キリスト教・多元性」研究会を共同研究の場とすることなどによって、研究を着実に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、海外(東アジア)でのフィールド調査に代えて、研究代表者が企画に関与した研究会などにおいて、海外と国内の研究者との意見交換や討論を行った。近年、海外からの研究者を招いて研究会を行うことが少なくないが、その一方で海外や国内のフィールド調査を実施するためのまとまった日程を確保することが難しくなる傾向にある。むしろ今後は、中国や韓国からの留学生の協力によって、東アジアの研究動向の把握に努めたい。国内については、日程調節を行い、短期間であっても成果の出るような研究調査を行いたい。また、平成30年度は研究の締めくくりの年度となるので、研究成果の刊行を含めて、研究の集約を行い、今後の研究の展開に繋げたい。
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