コロナ禍でずっと延期せざるを得なかったインタビュー研究について、金谷法忍氏(かないわ病院医師・元石川県立中央病院副院長・真宗大谷派門徒)のご協力を得て完成させることができた(現在、テープ起こし原稿作成中)。 著書としては、共著『コロナ禍とトリアージを問う―社会が命を選別するということ』(青弓社)を出版し、「選別なきトリアージとトリアージなき選別」という論考を掲載した。本論考は、障害者運動から危険視されている「トリアージ」の議論について、「トリアージ」という語の歴史やさまざまな使われ方を丹念に読み解くことで総合的な視点から考察し、本科研研究の成果が十分に生かされた。 また『老年精神医学雑誌』に「私たちは「よい死」を語りすぎていないか?」という論文が掲載された。本論文は、安楽死問題をめぐって、障害者コミュニティの人々や宗教コミュニティの人々とここ数年議論・対話を重ねてきた本科研研究の成果でもある。 また、安楽死問題やACP(人生会議)の問題を中心に、アカデミックな分野でもそれ以外の分野でも、さまざまな講演、シンポジウムなどを行った。 特に、日本生命倫理学会で安藤が代表者となって企画した大会企画シンポジウム「安楽死問題における〈当事者〉とは誰か?」は、重症障害の子をもつライターの児玉真美氏や、キリスト教学研究者の芦名定道氏などを招いて、多面的な視点から問題提起し、本研究の成果が生かされたと思う。
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