平成29年度に引き続き、『神宮綱要』所載の神宮関係の別宮・摂社・末社についてデータ化し、確認のための現地調査を行った。 明治維新時の諸藩における神仏分離の断行とそれにともなう廃仏毀釈の実情確認のため各地の諸社寺や図書館、史料館、教育委員会等において神仏習合と神仏分離を中心に調査を行った。 主な調査地として、激しい廃仏が行われた佐渡島、また神仏習合の状態から神道の神社となった伯耆大山、藩内の全寺院を廃寺とした苗木藩に関連して岐阜県東白川村(旧苗木藩内の一分)等において神仏習合と神仏分離の実態調査や教育委員会での聞取り調査を行った。また、京都・愛宕山にある愛宕神社など神仏習合の著しかった神社や、神仏分離後も神道色を排除して存続している寺院など、神仏分離の実態について実地調査と聞き取り調査を行った。また、金沢文庫や醍醐寺霊宝館、國學院大學博物館等の博物館等において各地の神仏習合と神仏分離について史資料等を閲覧し、特別展を観覧した。 神道史学会や日本印度学仏教学会大会、日本宗教学会等に参加し、近代初頭における神道と仏教、修験道に関する発表を聴講し、伊勢市を含む神仏習合と神仏分離の研究者との間で情報交換及び情報収集を行うとともに、「150年前の日本の宗教事情-神仏分離と廃仏毀釈-」及び「神仏分離の全国への展開」等の研究発表を行った。 また、収集・蓄積した史資料により河内国一宮・枚岡神社、愛宕神社、神仏分離にともない寺院を全廃した鹿児島藩と苗木藩、顕著な寺院整理が見られた佐渡島それぞれにおける神仏習合と神仏分離について特別に報告を作成した。また、神仏分離政策の各地への波及・展開を明らかにするため、主な社寺や激しく廃仏毀釈が行われた府・藩・県に関しては時系列にまとめ、その一覧を報告書に収載した。
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