研究課題/領域番号 |
16K02188
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
宗教学
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
中野 泰治 同志社大学, 神学部, 准教授 (80631895)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | クエーカー / 合意形成 / 合議形式 / 組織論 / 敵対者への愛 / 完全論 / 熟議民主主義 |
研究成果の概要 |
クエーカーの合意形成は,多数決や議論の力強さといったものによらず、最後まで異質な意見に意見を耳を傾け、最終一致に至るまで話し合いを続けることから成っており、約370年に亘り一貫してその伝統を守り続けている。彼らの合意形成・組織形成の前提となる考えとして、(1)神は矛盾ではなく、一致を作り出す方との信念、(2)すべての人は、部分的にしろ、それぞれ神の語りかけを受けているため、話し合いへの参加を通して、歪んだ見解が矯正され、共同了解に至りうるという考え、(3)敵対者への愛というイエスの模範に従い、最後まで異質な意見に開かれること(完全)を重視すること、という三点が存在することを歴史的に明確化した。
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自由記述の分野 |
クエーカー研究
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本の会議の場では往々にして、参加者の意見の表明や話し合いが行われるのではなく、すでに周到に用意された議事に賛否を表明することに終始することが多い。そうした場では、話し合いの中から新しい視点や洞察を得ることが目的ではなく、如何に決定された事柄に対して合意を導くことに力点が置かれる。英米の民主主義の源流の一つのとしてA.D.リンゼイによって参照されるクエーカーの合議形式・組織形成のあり方について改めて鑑みることで、英米の民主制度をモデルとして構成された日本の民主制の問題点と可能性について考慮することが可能になるだろう。
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