江戸時代の地域文化を考察の有効史料として「狂歌」を取り上げ、研究成果を史料が好条件で所蔵される欧州の機関と共有することを課題とした。「狂歌」の史料性を重視したのは、①「狂歌」が幅広い教養の上に立って作成され、②作者たちが全国的なネットワーク(連)を通じて地域に多用な人的・物的資源をもたらし、③その痕跡が諸種出版物の上に現れ、④狂歌作者自身と末裔たちが江戸期の「知」的資源をもとに近代の地域文化の担い手となった、と見られるからである。 多岐にわたる「狂歌」史料の文化的な意義の認知度を高め、海外の所蔵先等と広く意義・活用法を共有し、日本文化研究の新局面が創出する点に研究意義がある。
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