研究課題/領域番号 |
16K02201
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
小林 春夫 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (70242229)
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研究分担者 |
高橋 英海 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20349228)
山本 芳久 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50375599)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | イスラーム哲学 / イブン・スィーナー / 治癒の書 |
研究実績の概要 |
令和2年度は4月より新型コロナ感染症拡大の状況下にあって、海外での現地での調査や研究者との情報根幹が不可能であった。このため、国内の研究者とのオンラインによる研究会の開催と、研究分担者による個別研究の実施にとどまった。 まずオンラインによる研究会としては、8月22日、9月5日、10月10日、10月31日、11月21日、12月19日の計6回にわたり、Zoomによる研究会を開催した。毎回数名の研究者が参加し、The Cambridge Companion to Arabic Philosophy, Cambridge University Press, 2005(分担翻訳)の各章を、担当者が用意した訳文を3時間程度かけて詳細に検討した。またその内容に関して、参加者がそれぞれの専門的見地から意見交換を行った。 次に、研究分担者が、それぞれの専門領域に関する文献研究を進めた。代表者の小林はイブン・スィーナー『治癒の書』形而上学部分の読解を継続するとともに、関連する最新研究文献の収集と分析に努めた。またシャハラズーリーの『比喩と象徴』について、数種類のアラビア語写本に基づき校訂と読解作業を進めた。高橋はシリア語圏の思想や宗教について研究を進め、海外の学術書に寄稿した。山本はトマス・アクィナスの哲学に関する研究を進め、その成果を単行書として発表した。 このように一定の成果は上げられたものの、新型コロナウィルスの感染拡大により予定していた海外調査が行えなかったことから、補助事業期間の1年延長を申請することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度当初からの新型コロナ感染症拡大により、対面での研究交流や海外での調査研究が不可能であったため。ただし、概要に記述したように、Zoom等を利用したオンライン研究会を積極的に開催することにより、本研究課題の柱である比較思想史的研究に関する情報交換は行いえた。また研究分担者それぞれによる個別研究については、一定の成果を上げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は本課題研究の最終年度(1年延長)であるので、前年度未実施の調査を行いたいが、今年度も新型コロナ感染症の終息が見通せないことから、まずはこれまでの研究成果の取りまとめに専念する。具体的には、小林はイブン・スィーナー『治癒の書』形而上学部分について、既発表部分も含めて、第1巻全体の訳注を完成させ、何らかの形で公刊する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は年度当初より新型コロナ感染症の拡大により、予定していた海外調査や国内での研究活動が十分に実施できなかったため。令和3年度も新型コロナ感染症の終息が見通せない中、まずはこれまでの研究成果の取りまとめに専念する。具体的にはイブン・スィーナー『治癒の書』(形而上学部分)の第1巻について、既発表分も含め全体の訳注を完成させ、その公刊に向けた準備に助成金を活用する。
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