本研究は、今日まで、ほとんど我が国において本格的な研究がなされてこなかったシリア・キリスト教について、シリア語文献の解読を通して、その歴史的、思想的に解明することを課題としたものであった。研究者は、この課題について特に次の二つの点から研究を進めた。一つは、古代世界においては珍しい五つの異なる翻訳を生み出した「シリア語訳聖書の研究」、そして、もう一つが、イスラム勃興期におけるシリア・キリスト教徒たちの反応である。その成果は、学会、研究会、国際シンポジウム等での研究発表と論文という形で明らかにした。また、アフラハート、エフライムなどの著作のシリア語原文から翻訳を行った。
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