プラトンの主要対話篇で主題化され、その後、古代末期から中世初期にまで継承された、「神に似ること」を人間本性の完成とみなすプラトン主義的な伝統が、初期キリスト教思想にどのような影響を与え、いかなる変容を被ったかを、主要文献に即して検証・考察し得たこと、また、先行研究を通史的かつ領域横断的に再考し、「神に似ること」というギリシア的理念が「キリストに倣うこと」(imitatio Christi)という新たなパラダイムへと変容しつつも併存していく力動的な経緯を詳細に跡づけられたこと、さらにそれらの成果の一部を既に公刊し得たこと、以上が本研究の主たる成果である。
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