研究課題/領域番号 |
16K02216
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
浜 由樹子 一橋大学, 経済研究所, 非常勤研究員 (10398729)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ネオ・ユーラシア主義 / ロシア / イデオロギー / 地政学 |
研究実績の概要 |
研究推進の結果、2017年度に獲得した中国やブラジルといった新興国間の比較の視点から、ロシアにおける「ネオ・ユーラシア主義」と呼ばれる思想には、従来強調されてきたアイデンティティの模索という要素以外にも、新自由主義批判との親和性が高い側面があることが明らかになった。また、同時代の同地域における地政学の(再)流行現象が、同根の問題意識から派生し、両者の間に接点があることが判明した。自由主義・資本主義的国際秩序が挑戦を受けていると感じる(とりわけ冷戦期の旧「西側」に属する)人々にとって、ネオ・ユーラシア主義が脅威と映る理由も、ここから一定の説明が可能になる。 この成果は、一橋大学・京都大学共催のワークショップで報告され、大きな反響を得た。現在、ワーキングペーパーとして公開する準備を進めている。
2018年12月に参加したアメリカでの国際学会において、これまでネオ・ユーラシア主義とロシアの対中央アジア政策の間の「ミッシング・リンク」とされてきた一次資料が発見されたという情報を得た。この資料の内容によっては、これまでの検証結果に影響を与える可能性があるため、最終年度に予定していた成果公開は、期間を延長し、より精度の高い公開ができるよう確認・検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該研究計画の最初の2年間に順調に収集してきた二次資料が想像以上に多く、読み込みに時間がかかっているため。 また、ネオ・ユーラシア主義とロシアの外交政策との「ミッシング・リンク」とされてきた一次資料が新たに見付かったという情報を、12月に参加した国際学会で得、それを確認・検討する必要が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
新しい一次資料発見を受けて、研究期間を延長し、検証内容の公開については予定を遅らせた。暫定的な結論部を含む再検証の成果は、2019年6月の国際学会で発表する予定である。 また、当初の予想を超えるテーマの広がりが生じたため、個別論文に留まらず、字数制限の緩やかな単著のかたちを取って成果を公開することを視野に入れてまとめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度に入ってから新しい一次資料の発見があり、暫定的な結論となるべき箇所の修正・見直しを迫られたため。また、当初の計画では最終年度に企画していた学会でのパネル組織が、他のパネリストの予定変更の影響によりかなわなかったため、上記理由と併せて成果報告の公表を遅らせることとなった。 新しく見付かった一次資料については、発見者である研究者が所在と内容を公表するのを待つことになるが、発見者と情報交換をしつつ、結論箇所をどうアレンジするかを検討している。 同時に、地政学の(再)流行現象とネオ・ユーラシア主義の関係に関する議論を固め、次の新規研究課題につなげられるよう研究を進めている。
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