研究課題/領域番号 |
16K02219
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
清水 則夫 明治大学, 理工学部, 専任講師 (30580849)
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研究分担者 |
本村 昌文 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (80322973)
グラムリヒ・オカ ベティーナ 上智大学, 国際教養学部, 教授 (60573417)
高橋 恭寛 東北大学, 文学研究科, 専門研究員 (70708031)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 懐徳堂 / 日本思想史 / 朱子学 / 陽明学 / 春水日記 |
研究実績の概要 |
初年度にあたる28年度は、準備的作業として、主に資料収集と比較研究の前提作りを重点的に行い、かつ研究会を二回(5月7日、10月29日)開催した。 資料収集にあたっては、大阪府立中之島図書館、懐徳堂文庫、国会図書館、都立中央図書館等が所蔵する資料を新たに収集し、他の資料と合わせて分析を行った。なお入手すべき資料は残っているが、重要なものに限れば収集は順調に進展している。たとえば五井蘭洲については、山崎闇斎の著書の講義四種、および神道書の講義五種の分析を進めた。また蘭洲の神儒一致論は、闇斎学派の一部で提示されたものと親和性が高く、本課題にとって検討すべき問題であることが明らかになった。五井蘭洲と闇斎学派の関係については、一定の知見が得られるめどがたっている。陽明学批判の再検討については、方向性を見直し、代替案として対象を「小学」解釈の比較研究に変更する提案があったが、当面は両方の可能性を模索していくこととなった。正学派との交流と人的ネットワークについては、「春水日記」データベース作成と並行して分析を進めているところである。 「春水日記」データベース作成に関しては、アルバイトによるデータ入力を行った。完成には至っておらずまだ未公開ではあるが、入力済のデータは既に使用可能で、人的交流の具体相が浮かび上がりつつある。次年度以降も作業を継続していく予定である。 本年度に発表された論文等は別記のとおりだが、初年度ということもあり、当研究課題の最終目的である比較研究の前提として、比較相手の側に重点を置いた研究が多かった。今後、これらの成果を活用して研究を遂行していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料収集の進捗は想定通りであり、一部では今後の展望が開けつつあること、従来の研究の方向性を変更する可能性が生じた箇所でも、既に代替案が提示されかつその代替案に沿う形での資料収集にも着手済みであること、データベースが部分的とはいえ使用可能であること、比較研究の前提となる研究業績が蓄積されつつあること、以上の四点を考慮すれば、おおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、既定の方針に従い資料収集を継続しつつ、比較研究を深化させていき、懐徳堂の特徴を立体的に浮かび上がらせる。方向性の見直しについては、早期に結論を出す必要があり、そのためにも研究会の回数を増やすことが望ましい。意見交換の重要性は、以前よりも増していると判断される。またデータベース作成は順調であるが、そのスケジュール管理には一層の配慮が必要となる。また研究協力者を分担者に変更し、よりスピーディな研究費執行を可能にすることで、研究の遂行をより円滑にする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
偶然ながら28年度は大阪で関連学会が複数回開催され、そのため当初別々の日程で開催する予定であった研究会および資料調査を、同じ日程でまとめて行うことが可能であった。これによって、旅費の支出をかなり抑制することができたため、次年度使用額が発生することになった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究会の回数を増やす予定であることから、原則的に研究会用の旅費に充当する。また研究状況により転用する場合もおこりうるが、その際も適切に使用していく。
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