研究課題
組み木を体積計算の教材に応用するにあたり,組み木の機能について基礎調査を基軸に行った.組み木には観賞用として本棚等に設置し,組み木でありながら玩具機能を有しないものや,玩具機能を有しパズルとして楽しむ組み木がある.前者は分解が難しく,複雑な接ぎ手で構成されていることが多く,後者は容易に分解,組み立てが出来る構造のものが多い.また,知育としての組み木も見受けられるが,これは樹脂製で中に磁石を埋め込み,接ぎ手を使わない製品が多い.上述のように組み木には幾つかのカテゴリーに分類され,体積計算の機能を有するためにはどのカテゴリーの組み木が類似しているか等,学術的なアプローチはまだされていないため必要な研究調査を行った.また,米国のLilly図書館の協力で,特徴的な造形や構造体の組み木の実物の観察と組み木のカテゴライゼーションを行うことができた.さらに,組み木の組み立て方の難易度についても実験を行い,その実験分析を行った.実験で使用した3種類の組み木において,特に被験者が組み立てる順序を同じレベルで間違いをすることがあり,その造形的な特長について統計学的な分析を行った.上述の3種類の組み木を国内だけではなく,台湾の高雄師範大学の数学を専門とするLiao Pen-Huang教授とも打合せを行った.台湾での体積計算の教育方法と日本の教育方法に若干の相違箇所があることが分かったため,台湾の代表的な算数の教科書を基軸に組み木のデザインの修正を開始するための準備を始めた.また,算数教育の比較を明解にするため,中国の教科書も入手し,同時に三ケ国の算数教育の相違点を確認することで,日本での算数教育の組み木のデザインコンセプトがより明確に把握できると考えている.
2: おおむね順調に進展している
課題の計画通りにサーベイを行い,組み木のカテゴライゼーションを行えた.さらに,準備段階でのデータを基軸に組み木を試作し,それをもとに台湾での打合せをし次年度以降の進め方も明解になった.
中国,台湾,日本での体積計算の教育方法を教科書を基軸に特長を整理し組み木の設計を再度行う.設計した組み木を3次元立体にし,それを基軸に再度,算数の教育者らと打合せを行い,実験の準備を行う予定である.
予定していた材料費よりも安価に試作品が制作できたため.
次年度は打合せを海外で行うため,その旅費で使用を計画している.
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Bulletin of Japanese Society for the Science of Design
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Human Interface and the Management of Information: Applications and Services
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