研究実績の概要 |
本年度は、「芸術と生活の融合の戦後史研究」という課題に対して、1960年代のフルクサスやカウンターカルチャーの文献を収集し、読み始めていたが、出版物としてまず成果を出したのは、さいたまトリエンナーレ2016の芸術と生活の融合の事例や、障害者のバリアフリーアートの試みについてであった。 さいたまトリエンナーレについては、国際美学会の年報で、展覧会レヴューを上梓した(Yukiko KATO, “Silent Radicals: Report on The Saitama Triennial 2016, Japan,” International Association for Aesthetics Newsletter, Volume 48 December 2016, pp.9-11.) また同じくさいたまトリエンナーレに関しては会場ヴォランティアの方々に現代アートの意識調査を統計的に行い、現在のアートシーンで、現代アートがどのような期待を受けているのかを浮き彫りにした。美学に社会学的研究を導入した新しい研究である。(加藤有希子「今、私たちはアートに何を求めているのか――さいたまトリエンナーレ2016サポーターアンケートを軸に考える」埼玉大学紀要(教養学部)第52巻第2号、2017年3月31日、107-120頁。) また、その他の成果としては、芸術と障害者の生活が協同関係にある場面に焦点を当て、(加藤有希子「障害者、補助機器、バリアフリー・・・そしてアート」、立命館大学生存学研究センター監修・渡辺克典編『知のフロンティア――生存をめぐる研究の現場』ハーベスト社、2017年3月28日、74-75頁。)を上梓した。
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