地歌の曲種研究は、「三味線組歌」を対象とする国文学的研究や「手事物」に対する音楽学的研究が中心で、遅れている。申請者は、曲種成立の歴史と「浄瑠璃物」と「作物」に焦点をあてた研究を行ってきたが、本研究では「浄瑠璃物」の研究をさらに推し進め、「芝居歌物」にも調査対象を広げた。「浄瑠璃物」と「芝居歌物」の研究は、地歌の研究であると同時に、廃絶した繁太夫節や半太夫節などの浄瑠璃の研究、長唄の研究、歌舞伎や人形浄瑠璃の研究にもつながる。上方と江戸のさまざまな音楽が互いに関連を持ちながら発展した状況を具体的に解明できる研究として意義がある。
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