研究課題
本研究は2018年度まで行うことを当初予定していたが、2018年度に実施を計画していた海外調査を別件の仕事の都合上行うことができなかったため、2019年度にまで持ち越した。2019年度にはイギリス・フランスで調査を行い、大英博物館、帝国軍事博物館およびパリ国立博物館、その他の文書館でE・ユンガー、ベンヤミン、A・シュペーアおよびナチズムの表象に関する資料や文献を調査・収集した。また、ベルリンの国立図書館でナチズムとシュペーアの美学に関わる1930~40年当時の雑誌文献を多く集めた。さらに、期間全体を通じて取り組んでいたA・シュペーアの「廃墟価値の理論」についての考察を英語論文としてまとめ、発表した。これは2017年にこの科研課題研究の一環として行ったシンポジウム(於ベルリン自由大学)での発表を基礎とし、その後の調査によって明らかになった内容を加えてまとめ直したものである。同時に研究期間を通じて取り組んでいたK・H・ボーラーの「瞬間性」をめぐる美学について研究を進め、ナチズムの美学、モダニズムの美学の相互関連性という観点から総合的な考察を行った。この研究内容を第70回美学会で発表し、同題目「K・H・ボーラーの瞬間性(Ploetzlichkeit)をめぐって」として論文を書いて投稿した。投稿論文は2020年6月頃に『美学』誌上で発表される予定である。以上の取り組みを通して、時間性という観点から表現主義・保守革命・ナチズムにおける政治と美学の相互浸透について一定の見解を得ることができたと考える。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Art Research Special Issue vol.1 Journal of Art Research Center, Ritsumeikan Univeristy, February 2020.
巻: 1 ページ: 35-43
美学
巻: 256 ページ: 49-60