平成30年度は、8月にインド北東部ナガランド州のディマプルやコヒマ等で現地調査を実施した。そこでは、第一に前年度からの継続として、チャケサン・ナガの民謡文化に関して、文化保存団体代表やチャケサン・ナガ出身の学者へのインタビュー調査を行い、伝統的な民謡の歌詞の分析も更に充実させた。また第二に、伝統的な歌文化の保存と西洋音楽の波及の関連性について、若年層の教育的側面に着目して、州政府の教育省や多数の教育機関を訪問して集めたデータを基に新たに考察を行った。 前者の研究に関しては、民族音楽学において権威ある国際学術誌に論文が掲載された。また後者については、所属大学の紀要に「インド北東部ナガランド州の音楽教育:なぜインド国内で最も西洋音楽教育が浸透しているのか」と題した論文投稿を行った。 当該年度の調査や論考を経る中で、「人がなぜともに歌うのか」という歌文化の本質が浮き彫りとなり、次年度では、複数で歌われる「労働歌/仕事歌」という観点からも研究を更に発展させてゆく。
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