この研究は、近代日本のラッパの実態を解明するための手掛かりとして、主に群馬県で用いられていた消防のためのラッパ譜と、明治初期における陸軍のラッパ譜に着目し、個々の楽曲について分析を行った。 群馬県の消防組に関係する1895年から1940年までのラッパ譜7点に収録された楽曲を分析した結果、軍隊ラッパ譜からの転用と消防のためにつくられた楽曲から構成されていることが判明した。また、明治十年代に用いられたと推定される陸軍のラッパ譜3点に収録された楽曲の分析によって、その7割はフランスのラッパ譜を原典としているが、3割は日本で創作された可能性が高いことが明らかになった。
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