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2018 年度 実施状況報告書

アレクサンドル・チェレプニンの中国と日本における活動及び作品への影響の再検討

研究課題

研究課題/領域番号 16K02250
研究機関日本大学

研究代表者

高久 暁  日本大学, 芸術学部, 教授 (20328769)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワードチェレプニン / 近代日本音楽史 / 近代中国音楽史 / 楽譜出版 / ロシア音楽史
研究実績の概要

アレクサンドル・チェレプニンが1937年に日本での滞在を終えたあとで執筆した未発表の日本の音楽事情に関する論説文について、軽微な編集作業を行ったうえで、原文と翻訳および解題を付して出版した(日本大学芸術学部「芸術学部紀要」第68号)。この文章は従来ごく一部が中国人研究者の論文に用いられていただけであり、全文が公表されたのはこれが初めてである。この文章を公表することで、チェレプニン自身の言葉で日本の作曲家や日本の音楽文化に関するチェレプニンの見方が初めて明らかにされた。さらに中国と日本の音楽および音楽事情に対するチェレプニンの見解の比較研究が可能となった。これらの成果を組み入れたうえで改めてチェレプニンのいわゆる「チェレプニン楽譜」の出版活動について考察を行い、2018年10月にリトアニアで行われた第46回Baltic Musicological Conferenceにおいて発表を行った。
研究遂行のため、2018年9月にスイス、バーゼルにあるパウル・ザッハー財団のチェレプニン・アーカイヴとモスクワのロシア国立グリンカ音楽文化博物館コンソーシアムにあるシュネールソン・アーカイヴで調査を行った。シュネールソンはチェレプニンと親交のあったロシア出身で旧東独に住んだ音楽家であり、1960年代から11977年に没するまでにチェレプニンがシュネールソンに宛てた書簡の内容を検討することで、チェレプニン自身による1930年代の中国・日本での活動の総括、さらに従来知られていなかったチェレプニンの同時代音楽への経験や見解を知ることができた。また、現在では入手困難となっているチェレプニン楽譜の収集にも成功した。これらの研究は研究者が従来従事している台湾音楽史研究にも好ましい刺激を与えたため、その成果は2019年に開催される国際学会(IMS-EA)で発表予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度の研究によって新たに判明した1940年代のパリにおけるチェレプニンと日本人舞踏家との関係について、調査のデザインを徹底させることができず、十分な調査を行うことができなかった。また、アメリカ、ニューヨーク州において予定していたチェレプニンの最初の妻、ルイジーン・ウィークスに関する調査が時間的な都合で十分な期日を割くことができず、結局実行できなかった。本務校の校地閉鎖に伴う諸手続きに忙殺されるという予期せぬ事態に見舞われたとはいえ、やはり自己評価としては「やや遅れている」を選ばざるを得ない。

今後の研究の推進方策

研究の最終年度となるため、従来の研究成果を十分見直した上で、①1940年代パリにおけるチェレプニンの活動調査、②ニューヨーク州におけるルイジーン・ウィークス関連の調査、③近衛秀麿編曲《越天楽》をめぐる資料調査と楽譜テキストの調査、④シュネールソンに宛てたチェレプニンの書簡の調査の完遂、⑤チェレプニン楽譜の日英二か国語によるカタログ・レゾネの作成と出版を行う。このため、パリ、パウル・ザッハー財団のチェレプニン・アーカイヴ、ロシア国立グリンカ音楽博物館コンソーシアム、ニューヨークおよびニューヨーク州アイスリップで調査を行う。

次年度使用額が生じた理由

昨年度に予定していながら実施できなかった国外調査があり、また、本研究の最終目標のひとつであるチェレプニン楽譜の日英2か国語によるカタログ・レゾネの出版および送付費用を使用しなかったため、次年度使用額が生じることになった。今年度は研究最終年度に当たるため、研究費はパリ、アメリカ、ロシア、スイスへの研究調査のための出張費用として、また上記カタログ・レゾネの出版・送付費用に充当する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] アレクサンドル・チェレプニン『日本の音楽に関する論説のスケッチ』本文・翻訳・解題2018

    • 著者名/発表者名
      高久 暁
    • 雑誌名

      日本大学芸術学部紀要

      巻: 68 ページ: 19-36

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Unknown Blooms awaiting Globalization? History of Musicology in Japan in the latter half of the 20th Century2018

    • 著者名/発表者名
      Satoru Takaku
    • 学会等名
      Musicology in the Age of (Post)Globalization
    • 国際学会
  • [学会発表] Series of Printed Music as Music Criticism - Alexander Tcherepnin and Collection Alexandre Tcherepnine2018

    • 著者名/発表者名
      Satoru Takaku
    • 学会等名
      46th Baltic Musicological Conference
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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