研究課題/領域番号 |
16K02253
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研究機関 | 武蔵野美術大学 |
研究代表者 |
牧野 良三 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (80120872)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 日本のオペラ受容の変遷の視覚化 / ドラマとしてのオペラ作品の分析 |
研究実績の概要 |
本研究は、オペラという外来文化(芸術)が日本で受容される過程を舞台美術という視覚的、造形的側面から解明しようとする試みである。オペラの持つドラマ性に焦点を当て、その構造を明らかにすることで、受容の変遷とともに、空間構造をも解析をしようとするものである。 ・戦後50年の日本のオペラ上演を総覧できる独自の上演記録(研究一年目の成果)をもとに、上位20作品を選出し、上演の推移、動向などを図表等で表し、受容の過程を明らかにした。(継続中) 上位20作品(2017年3月現在)1.椿姫 2.フィガロの結婚 3.カルメン 4.魔笛 5.蝶々夫人 6.ドン・ジョヴァンニ 7.トスカ/こうもり 8.セビリアの理髪師 9.ラ・ボエーム 10.コシ・ファン・トゥッテ 11.メリー・ウィドウ 12.リゴレット 13.アイーダ 14.トゥーランドット 15.カヴァレリア・ルスティカーナ 16.ヘンゼルとグレーテル 17.オテロ 18.愛の妙薬/道化師/ランメルモールのルチア/ワルキューレ 19.タンホイザー/ばらの騎士 20.エフゲニー・オネーギン/サロメ ・分析の手掛かりとした4つの検討項目(研究一年目の成果)をもとに、上位20作品のドラマの構造を明らかにし、50年の時間推移による舞台空間の表現の違いの検討を行った。(継続中) 検討にあたって4つの項目 ①物語の世俗的背景が重視される作品 ②物語の寓意性、幻想性が重視される作品 ③物語の神話的、伝説的解釈が重視される作品 ④祝祭性、上演形式のスケールを重視する作品
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予想されていたことではあるが、研究対象の上位20作品の視覚資料の収集に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度から進めている上位20作品について、ドラマの構造の分析を深め、日本のオペラ受容の変遷を可視化した上で、本研究の目的である舞台美術から見たオペラの受容の過程を明らかにする。 選出した上位20作品について、50年の推移(5年ごと)の中から見えてきた特筆すべきオペラ公演を抽出する。それを起点に空間構造および視覚的変遷を、図表などを用いて視覚化することで、受容の形を明らかにする。 視覚的変遷を視覚化するにあたっては、資料的に充実している武蔵野美術大学所蔵の三林亮太郎作品を起点として検討作業を進める。 詳細な上演記録作成(上位10作品)を継続して、記録の充実を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の可視化の充実を図るための作業(収集、整理、データ作成等)が遅れているため。 研究計画を推し進めるとともに、可視化のための実作業を継続して行なう。舞台美術に関する情報の収集と整理、データ作成等の作業のための人件費。および、研究成果の発表のための資料作成費用(図面、完成予想図、模型等の制作にかかる人件費・謝金、材料費、関連図書購入費等) 研究の成果をインターネット上で公開するための費用(人件費、物品費等)
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