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2016 年度 実施状況報告書

環境美学における自然美論の発展的基礎付け

研究課題

研究課題/領域番号 16K02255
研究機関東京工芸大学

研究代表者

平山 敬二  東京工芸大学, 芸術学部, 教授 (50189867)

研究分担者 長澤 麻子  立命館大学, 文学部, 准教授 (30611628)
加藤 泰史  一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (90183780)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード自然美学 / マルティン・ゼール / ヴォルフハルト・ヘンクマン / ゲルノート・ベーメ / 哲学的自然美論 / 環境美学 / 自然保全 / ドイツ系自然美学
研究実績の概要

「環境美学における自然美論の発展的基礎付け」という本研究課題の遂行にあたり、その第一年度である本年度の研究計画は、現代ドイツ哲学における自然美論の集中的研究を遂行することであったが、ほぼ当初の計画通りに遂行することができた。
特に現代ドイツにおける自然美学研究の代表者といえるゲールノート・ベーメとマルティン・ゼールおよびウォルフハルト・ヘンクマンの三者の自然美学思想については、これまでの研究成果を含めたさらなる発展的研究を遂行した。これら三者のドイツ系の自然美学思想の相違と特質とを検討する参照軸として、英米哲学におけるホワイトヘッドの有機体論的自然観についても検証すべく、あらたにその専門研究者である吉田幸司氏を研究協力者としてむかえた。当初の計画通り夏と冬の2回にわたり共同研究会を研究代表者の所属する東京工芸大学にて実施し、カント、シラー、ベーメ、ゼール、アドルノ、ベンヤミン、ホワイトヘッド等の自然美学思想についての活発な研究発表とそれらを巡る意見交換を実施した。
研究代表者である平山は、当初の研究実施計画にしたがって、ドイツ人海外共同研究者の一人であるヘンクマン教授をミュンヘンに訪ね、「エコロジー的自然美学」というテーマで3時間にわたるコロキウムを実施するとともに、持続可能な自然保全都市計画として世界的に有名なフライブルク市ヴォーバン地区の視察を実施し、共同研究会にてその現状について報告した。
本年度の研究遂行の過程で、現代ドイツ哲学界における自然美学研究の上で、フランクフルトのマルティン・ゼール、ミュンヘンのヴォルフハルト・ヘンクマンに次いで、ダルムシュタットのゲルノート・ベーメの自然美学思想の研究を改めて実施することの必要性が認識され、来年度においてベーメ氏と直接コンタクトを取ることも含めた研究実施計画が検討された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究計画の第一年度に当たる本年度の研究目的は、現代ドイツ哲学における自然美論の基礎的研究であるが、この研究目的に沿って、ほぼ当初の研究実施計画通りに研究を遂行することができた。現代ドイツにおける自然美学思想を代表するゼール、ベーメ、ヘンクマンの三者の自然美学思想について、本課題研究参加者のそれぞれが研究と理解を深めただけでなく、共同研究会において現代ドイツの自然美学思想についての共通の研究基盤を確立することがほぼできたと考えられる。当初の研究実施計画にしたがって、ドイツ人海外共同研究者のひとりであるヴォルフハルト・ヘンクマン氏と直接コンタクトを取り、今後の共同研究にむけて了解を取ることができたし、来年度の研究へ向けてベーメ氏ともコンタクトを取ることができた。来年度の応用的研究のための基礎的研究基盤を本年度においてほぼ確立することができたと考えられる。

今後の研究の推進方策

本研究課題の第二年度に当たる来年度の応用的研究段階における主な研究目的は1、日本的自然観・倫理観とドイツ的自然観・倫理観との対比的研究、2、ドイツにおける自然再生プロジェクトの具体的研究、3、環境美学と環境倫理学との対比的統合研究、4、環境美学における哲学的自然美論の応用的研究の4つを設定している。これら4つの研究目的を達成するために、当初の研究実施計画にしたがって各課題研究参加者による個別の研究遂行とともに、夏と冬との年2回の共同研究会を計画通り実施するが、それらとは別に、特に第二年度の研究目的の「日本的自然観・倫理観とドイツ的自然観・倫理観との対比的研究」のために、ドイツ人海外共同研究者の一人であるゲルノート・ベーメ氏を今年度中に日本に招聘し、日本人研究者との間でわれわれの研究課題を巡る活発な意見交換を行うことが、われわれの研究目的の達成のために大変有効であると考えられるので、それを実現すべく計画を立てる。これは「ドイツ人海外共同研究者との直接的な学術討論および意見交換の機会を設定する」という本課題研究の研究実施計画にも一致するものである。

次年度使用額が生じた理由

本年度に予定していた海外共同研究者の日本への招聘が、本年度は見送られたため。

次年度使用額の使用計画

2017年度に予定されている海外共同研究者の日本への招聘およびコロキウムの実施のための費用の不足分に充当する。

  • 研究成果

    (40件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (27件) (うち招待講演 5件) 図書 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [国際共同研究] ミュンヘン大学(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      ミュンヘン大学
  • [雑誌論文] 哲学とエッセイ(1)2017

    • 著者名/発表者名
      長澤麻子
    • 雑誌名

      立命館文学

      巻: 651 ページ: 99-119

  • [雑誌論文] 「生命(life)」の形而上学―人間学へのホワイトヘッド哲学の応用―2017

    • 著者名/発表者名
      吉田幸司
    • 雑誌名

      人間学紀要

      巻: 46 ページ: 41-60

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ホワイトヘッドの思弁哲学の方法―クワインの自然主義と比較して―2017

    • 著者名/発表者名
      吉田幸司
    • 雑誌名

      論集

      巻: 35 ページ: 印刷中

  • [雑誌論文] 趣味判断が誤るとき--『判断力批判』における情感的意識の観点から2017

    • 著者名/発表者名
      高木駿
    • 雑誌名

      美学

      巻: 250 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 思想の言葉 「尊厳」概念のアクチュアリティ2016

    • 著者名/発表者名
      加藤泰史
    • 雑誌名

      思想

      巻: 1114 ページ: 2-7

  • [雑誌論文] 尊厳概念史の再構築に向けて2016

    • 著者名/発表者名
      加藤泰史
    • 雑誌名

      思想

      巻: 1114 ページ: 8-33

  • [雑誌論文] 気づきと価値の生成―内部観測演劇の内部観測哲学―2016

    • 著者名/発表者名
      吉田幸司・大厩諒・清水友輔
    • 雑誌名

      エウレカ・プロジェクトE!

      巻: 8 ページ: 76ー91

  • [雑誌論文] 趣味判断『このバラは美しい』に関するカントの自己矛盾?2016

    • 著者名/発表者名
      高木駿
    • 雑誌名

      美学

      巻: 248 ページ: 13-24

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 趣味判断における快の感情の生成―『認識一般』からの捉え直し2016

    • 著者名/発表者名
      高木駿
    • 雑誌名

      日本カント研究

      巻: 17 ページ: 157-171

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 『趣味の主観主義』を拡張する―『判断力批判』における『認識一般』を導き糸に―2016

    • 著者名/発表者名
      高木駿
    • 雑誌名

      哲学論集

      巻: 45 ページ: 73-88

    • 査読あり
  • [学会発表] ベンヤミンと言語④社会と言語:そして歴史認識の時限へ)2017

    • 著者名/発表者名
      長澤麻子
    • 学会等名
      日独文化研究所哲学講座(連続講演)
    • 発表場所
      公益財団法人日独文化研究所(京都府・京都市)
    • 年月日
      2017-03-30
  • [学会発表] 宗教的経験の意味への問い―プラグマティズムの発展的解釈とその応用―2017

    • 著者名/発表者名
      吉田幸司
    • 学会等名
      宗教哲学フォーラム
    • 発表場所
      上智大学(東京都千代田区)
    • 年月日
      2017-03-20
    • 招待講演
  • [学会発表] ベンヤミンと言語③翻訳者と「根源」の言語2017

    • 著者名/発表者名
      長澤麻子
    • 学会等名
      日独文化研究所哲学講座(連続講演)
    • 発表場所
      公益財団法人日独文化研究所(京都府・京都市)
    • 年月日
      2017-03-16
  • [学会発表] ベンヤミンと言語②認識批判におけるアレゴリーと言語2017

    • 著者名/発表者名
      長澤麻子
    • 学会等名
      日独文化研究所哲学講座(連続講演)
    • 発表場所
      公益財団法人日独文化研究所(京都府・京都市)
    • 年月日
      2017-03-09
  • [学会発表] フライブルク市ヴォーバン地区の視察報告2017

    • 著者名/発表者名
      平山敬二
    • 学会等名
      第8回新規環境美学研究会
    • 発表場所
      東京工芸大学中野キャンパス(東京都・中野区)
    • 年月日
      2017-03-05
  • [学会発表] “Aktive Passivität ”から読み解くマルティン・ゼールの美の概念2017

    • 著者名/発表者名
      阿部美由起
    • 学会等名
      第8回新規環境美学研究会
    • 発表場所
      東京工芸大学中野キャンパス(東京都・中野区)
    • 年月日
      2017-03-05
  • [学会発表] アドルノの風景論―自然美、音楽表象、風景画の事例において2017

    • 著者名/発表者名
      府川純一郎
    • 学会等名
      第8回新規環境美学研究会
    • 発表場所
      東京工芸大学中野キャンパス芸術情報館2階第1セミナー室(東京都・中野区)
    • 年月日
      2017-03-05
  • [学会発表] 哲学とエッセイ・序論2017

    • 著者名/発表者名
      長澤麻子
    • 学会等名
      第8回新規環境美学研究会
    • 発表場所
      東京工芸大学中野キャンパス(東京都・中野区)
    • 年月日
      2017-03-04
  • [学会発表] カントを趣味のエリート主義から真に解放する2017

    • 著者名/発表者名
      高木駿
    • 学会等名
      第8回新規環境美学研究会
    • 発表場所
      東京工芸大学中野キャンパス(東京都・中野区)
    • 年月日
      2017-03-04
  • [学会発表] ベンヤミンと言語①近代批判としての「魔術」的言語2017

    • 著者名/発表者名
      長澤麻子
    • 学会等名
      日独文化研究所哲学講座(連続講演)
    • 発表場所
      公益財団法人日独文化研究所(京都府・京都市)
    • 年月日
      2017-03-02
  • [学会発表] 『判断力批判』における超越論性―『純粋理性批判』との連続性に着目して―2017

    • 著者名/発表者名
      高木駿
    • 学会等名
      科学研究費 基盤研究(C)「超越論的論証:その本質と発展可能性」平成28年度公開研究会(招待講演)
    • 発表場所
      早稲田大学(東京都・新宿区)
    • 年月日
      2017-02-19
  • [学会発表] 日本哲学会での理念と実践2017

    • 著者名/発表者名
      加藤泰史
    • 学会等名
      日本学術会議
    • 発表場所
      日本学術会議講堂(東京都・港区)
    • 年月日
      2017-01-21
  • [学会発表] グローバリズムとプルーラリズム―和辻の風土論再考2017

    • 著者名/発表者名
      平山敬二
    • 学会等名
      日本大学文理学部大学院特別講義
    • 発表場所
      日本大学文理学部(東京都世田谷区桜上水)
    • 年月日
      2017-01-20
    • 招待講演
  • [学会発表] アドルノの自然美学の(ウン)アクトゥアリテート―「自然の言語」を中心に2016

    • 著者名/発表者名
      府川純一郎
    • 学会等名
      第20回一橋大学哲学・社会思想学会
    • 発表場所
      一橋大学国立キャンパスキャンパス第3研究館3階研究会議室(東京都・国立市)
    • 年月日
      2016-11-26
  • [学会発表] プロセス哲学の実践と哲学協創の試み2016

    • 著者名/発表者名
      吉田幸司
    • 学会等名
      東京大学附属「共生のための国際哲学研究センター(UTCP)」(招待講演)
    • 発表場所
      東京大学駒場キャンパス(東京都目黒区)
    • 年月日
      2016-11-20
  • [学会発表] 「理性の公共的使用」とは何か?―「グローバルな公共性」の構築に向けて―2016

    • 著者名/発表者名
      加藤泰史
    • 学会等名
      中国・東北師範大学教育学部研究講演会
    • 発表場所
      中国・東北師範大学教育学部
    • 年月日
      2016-10-31
    • 招待講演
  • [学会発表] カントの教育学とその現代的意義―カントと「人間の尊厳」の問題―2016

    • 著者名/発表者名
      加藤泰史
    • 学会等名
      中国・東北師範大学教育学部研究講演会
    • 発表場所
      中国・東北師範大学教育学部
    • 年月日
      2016-10-31
    • 招待講演
  • [学会発表] 尊厳のアクチュアリティ2016

    • 著者名/発表者名
      加藤泰史
    • 学会等名
      一橋大学政策フォーラム
    • 発表場所
      一橋大学(東京都・国立市)
    • 年月日
      2016-10-22
  • [学会発表] クワインとホワイトヘッド―哲学の方法を巡って―2016

    • 著者名/発表者名
      吉田幸司
    • 学会等名
      日本ホワイトヘッド・プロセス学会
    • 発表場所
      立正大学(東京都品川区)
    • 年月日
      2016-10-09
  • [学会発表] カント美学とヘノロジー―『判断力批判』における「情感的意識」を契機として2016

    • 著者名/発表者名
      高木駿
    • 学会等名
      新プラトン主義協会
    • 発表場所
      名古屋工業大学(愛知県・名古屋市)
    • 年月日
      2016-09-17
  • [学会発表] ホワイトヘッドの「生命(life)」の形而上学―人間学への応用の試み―2016

    • 著者名/発表者名
      吉田幸司
    • 学会等名
      上智人間学会
    • 発表場所
      上智大学(東京都千代田区)
    • 年月日
      2016-09-10
  • [学会発表] Watsuji und Herder ueber Kultur und Uebersetzung- Eine Zwischenbetrachtung-(文化と翻訳をめぐる和辻とヘルダー ―中間考察―)2016

    • 著者名/発表者名
      加藤泰史
    • 学会等名
      日本思想研究ワークショップ「翻訳と日本哲学」
    • 発表場所
      ドイツ・ライプチッヒ大学
    • 年月日
      2016-09-07
  • [学会発表] ゲルノート・ベーメにおける自然の再自然化・再文化化の意味について2016

    • 著者名/発表者名
      阿部美由起
    • 学会等名
      第7回新規環境美学研究会
    • 発表場所
      東京工芸大学中野キャンパス(東京都・中野区)
    • 年月日
      2016-09-03
  • [学会発表] ホワイトヘッドの有機体論的自然観―科学・哲学・芸術を統合した智の実現へ向けて―2016

    • 著者名/発表者名
      吉田幸司
    • 学会等名
      第7回新規環境美学研究会
    • 発表場所
      東京工芸大学中野キャンパス(東京都・中野区)
    • 年月日
      2016-09-03
    • 招待講演
  • [学会発表] 現代の尊厳問題2016

    • 著者名/発表者名
      加藤泰史
    • 学会等名
      第19回一橋哲学フォーラム
    • 発表場所
      一橋大学(東京都・国立市)
    • 年月日
      2016-07-30
  • [学会発表] カントの多元主義――理論的領域における展望――2016

    • 著者名/発表者名
      高木駿
    • 学会等名
      上智大学哲学会
    • 発表場所
      上智大学(東京都・千代田区)
    • 年月日
      2016-06-19
  • [学会発表] Philosophy as a Critical Facilitator in the University -- On the Public Use of Philosophy in the University--2016

    • 著者名/発表者名
      加藤泰史
    • 学会等名
      日本哲学会第75回大会
    • 発表場所
      京都大学(京都府・京都市)
    • 年月日
      2016-05-15
  • [図書] フィヒテ全集 第14巻一八〇五-〇七年の知識学2016

    • 著者名/発表者名
      高木駿
    • 総ページ数
      570頁(420-570頁担当)
    • 出版者
      晢書房
  • [学会・シンポジウム開催] 「エコロジー的自然美学」を巡るコロキウム2017

    • 発表場所
      ミュンヘン大学(ドイツ・ミュンヘン市)
    • 年月日
      2017-02-23 – 2017-02-23

URL: 

公開日: 2018-01-16   更新日: 2022-02-16  

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