研究課題/領域番号 |
16K02256
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研究機関 | 仁愛大学 |
研究代表者 |
三脇 康生 仁愛大学, 人間学部, 教授 (40352877)
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研究分担者 |
岡田 修二 成安造形大学, 芸術学部, 教授(移行) (80269753)
松嶋 健 広島大学, 社会科学研究科, 准教授 (40580882)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 地域振興 / 地域アート / 障害者アート / 脱施設化 / 精神科医療改革 |
研究実績の概要 |
福祉領域でのアートの活動は、滋賀県では伝統があり、福井県ではさほど伝統がない印象があった。初年度の調査は、その理由を把握することにあてがわれた。福祉の領域では、福井県でも、若狭町にて「きらりアート展」というアートフェスティバルが開かれており、成果が発表される機会はあった。しかし地域を起こしながらアート活動を行う事例は見つからなかった。しかし朝倉由希氏が浄善寺で継続している地域起こしとアートの連携の動きを発見することができた。NPO法人福井芸術・文化フォーラムの開くハナスバという公開議論の場にも朝倉氏が参加しており、今後とも連携していきたい。滋賀では、研究分担者の成安造形大学の岡田修二教授とともに社会福祉法人glowの活動を取材した。滋賀県の病院については、スタッフの地域でのアート活動への参加の可能性がある病院の候補を挙げるにとどまった。 病院に関しては、福井済生会病院にて、研究協力者の福井工大西尾浩一教授が指導する学生の参加型アートの設営に協力し、アンケートをスタッフに行った。 フランスのリールからアートを用いた際の支援者側の変化の説明を成安造形大学で受けることができた。聞き取りは、研究分担者の松嶋健准教授と行った。その結果、アート活動は、精神科病院の外で生活する患者の病理的でない能力を開発し、いわゆるアールブリュットやアートセラピーとは異なる、反精神医学的な活動として機能していることがわかった。医療福祉と異なる局面をアートが開いていており、それを市民性と名付けることが理解できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内研究に関しては遅れている。なぜなら、福井県に関しては、精神科の患者とスタッフが参画できるようなアートを用いた持続的な活動は発見できなかったからである。滋賀県に関しては、地域の動きは独特の発展があるが、精神科病院スタッフと一緒にアート活動を行うことはない。いずれも、本研究チームの独自の動きでゆっくりつないでいくしかないという事情がある。 海外との連携研究では、計画より進んでいる。代表者が分担をしていた別の科研費研究の成果により、アートの活動を用いて精神科病院を使わずに地域医療を行うことで有名な、フランスのリールから関係者に来日講演してもらい、聞き取り調査を実行することができたからである。この情報を岡山で代表者が講演した際に、法律家からの研究協力依頼を受けるなどした。
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今後の研究の推進方策 |
国内の研究としては以下である。福井県では、福井済生会病院で陶芸のワークショップを行い、地域のアーティストの参画と、患者の参画を試みて、スタッフ側の意識の変化を調査したい。また、ホスピタルアートの研究者の講演を夏に用意して、スタッフ研修を行いたい。その際には、地域でのアート活動とホスピタルアートの出会いの場所を創設したい。滋賀県では、日本遺産水の文化ツーリズム推進協議会の研究と兼ね合わせながら、成安造形大学と支援者側、被支援者側、高校生などの学生のグループを作り、アート活動をともにする機会を作る予定である。また、海外では、リールでの実地調査を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費に関しては、協力病院からのボランティア参加もあり使用しなかった。そのために使用しない金額が出た。また成安造形大学の、地域の情勢を見極めるために、地域活動への参画は来年度に見送られた。福井県の病院と地域をつなぐ活動も実施できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
滋賀県での、地域でのアート活動への参画を果たすために、使用する。福井県での、病院と地域をつなぐ研修実践活動に使う。
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