研究課題/領域番号 |
16K02256
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研究機関 | 仁愛大学 |
研究代表者 |
三脇 康生 仁愛大学, 人間学部, 教授 (40352877)
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研究分担者 |
岡田 修二 成安造形大学, 芸術学部, 教授(移行) (80269753)
松嶋 健 広島大学, 社会科学研究科, 准教授 (40580882)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アート / 日本の精神医療 / フランスの精神医療 |
研究実績の概要 |
2017年8月4日、福井県済生会病院が、福井工業大学と協力してきたホスピタルアートの取り組みや、癒しの空間作りについて、10名程度の事務スタッフと意見交換会を実施した。協力スタッフは事務スタッフのみで、様々な職種の参加は得られなかった。当病院は、NPO法人と連携した街つくりには進む段階にはまだなく、ゆっくりしたスピードで進めていくとのことだった。アートをはじめとする療養環境の改善、あるいは癒やしの環境づくりは、トップの意識次第、経営理念や経営戦略次第とも考えられ、ボトムアップでは一気に進まないことが伺えた。 8月5日には、当科研費研究の中間報告会を開催するために、福井工業大学にゲストとして札幌市立大学蓮見学長を迎え、代表者、分担者、連携研究者が科研研究の振り返りを行った。 滋賀では、アールブリュトでもアートセラピーでもない形で、アートと障害者支援を組み合わせる方策を探していたが、滋賀県の社会福祉法人、信楽青年寮と成安造形大学が協力することとなり、「みんなで歩く、湖(うみ)、島、お寺展」を2018年2月10日から2018年3月3日まで成安造形大学にて開いた。2月12日には、代表者、分担者も全員参加した作品鑑賞会・対話会が開かれた。この際、支援者、当事者、学生、教員、全ての者をクリエーターにするという方針が確認され、これがフランスのリールから教えられたアートと障害者支援を組み合わせる一つの立場であることが確認できた。 フランスのリースの精神医療の状況を知るために11月10日、ピエールドゥリオン、リール第2大学精神医学講座名誉教授を招聘し、明治学院大学で開催された第24回多文化間精神医学会で講演してもらった。11月11日には、代表者の三脇がドゥリオン名誉教授から聞き取り調査をして、その翻訳は多文化間精神医学会雑誌「こころと文化」vol17no1p56-63に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今まで国内の研究は、遅れ気味であり、未だパイロット研究状態にあったが、滋賀県において信楽青年寮という具体的な協力機関を見つけることができて一気に目的を達成することができたため、国内の研究が予定に追いついてきたためである。 国際的な協力関係に基づく研究は、予定通りのスピードで進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
滋賀県の協力施設が見つかり展覧会が開催できたので、その結果を福井県に啓蒙し、ともに議論できる施設や関係機関を見つけていく。すでに、その際の協力パートナーとしてN PO法人、福井芸術・文化フォーラムと協力関係を作っている。ここまでの成果を、日本の精神科医にも啓蒙の機会を作る予定である。 国際的な協力関係に基づく研究協力施設にも、この日本での研究をフィードバックして紹介し直し、フランスやイタリアの精神科医達とも議論するシンポジュウムなり、研究会なりを創設する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
展覧会へ参加した施設のスタッフなどが、ボランティアで参加してくれたため。
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備考 |
> Gather - 群れ <では、代表者が作成に大きく関わりテキストも書いたが、作成自体はノマルエデションが行なった。同じく、成安造形大学が「みんなで歩く、湖(うみ)、島、お寺」を作成した。
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