研究課題/領域番号 |
16K02256
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研究機関 | 仁愛大学 |
研究代表者 |
三脇 康生 仁愛大学, 人間学部, 教授 (40352877)
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研究分担者 |
岡田 修二 成安造形大学, 芸術学部, 教授 (80269753)
松嶋 健 広島大学, 社会科学研究科, 准教授 (40580882)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アート / 精神医療 / 脱医療化 / 地域 / アートセラピー / アールブリュット / フランス / イタリア |
研究実績の概要 |
最終年度は、滋賀県の研究としては、「みんなで歩く、湖(うみ)、島、お寺」カタログを成安造形大学で発刊し、また滋賀県での調査と福井県での調査を比較検討するシンポジュウムを福井県、福井市の文化フォーラム主催にて、「ハナスバ2018ワーク×ライフ=幸福?!アートがしかける仕事と生活のよりよい関係」と題して、2018年8月18日(土)・19日(日)福井 北ノ庄クラシックスで開いた。また、フランスのリールにあるCCOMSセンター長のジャンリュック・ローラン医師とイタリアのトリエステの精神保健センターのマリオ・コルッチ医師を11月に日本に招き、アートのもたらす精神科医療への効用について多文化間精神医学会にて講演をしてもらった。アートは、アートセラピーでもなく、アール・ブリュットでもない、効用を脱医療化のために用いていることが説明された。 全体として言えることは、一見、アートという精神医療に無関係であるものを巻き込むことで、精神科医療に支えられる患者の、日常的ニーズへ介入して、幅広い対応が可能となる見込みがあることが判明したということである。そのためにも、町興しになる様な産業としてアートがある場合、それに患者とともにスタッフが従事し関係することを超えて、敢えてアーティストの精神医療への「参画」を招くことが、今まで無いような医療化からの解放を生む。それがゆえに、アートに頼りアートに近しい地域では、フランスのリールやイタリアのトリエステのアートの活用は模倣可能であろう。しかし、単にアートが好きな地域幹部による無理強いとも言える様な安易な模倣は許されるものではない。この場合の、「参画」とはどの様なことを意味するのか、美学的な検討を行う必要が出てきた。この「参画」は、ハンナ・アーレントの言うところの、労働、仕事、活動の何になるのか、さらなる研究を行う課題に到達した。
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