本研究最終年度であるため、①古楽譜から《乱後夜》《晴嵐》を復元完成させる、②復元曲を披露演奏する、③文献資料としての古楽譜の問題点をまとめる作業をおこなった。 ①については、京都府立総合資料館(現京都府立京都学・歴彩館)所蔵の三味線組歌の楽譜5種から、これまで解読・復原作業を進めてきた柳川流の《乱後夜》《晴嵐》 2曲 の復元曲としての完成を目指し、復元曲の演奏を研究協力者と共に何度も試み、その演奏を録音して客観的に聴いてみるなどして確認・吟味・検討し、聴衆を前に披露演奏できるよう、最善の努力を尽くした。自らも演奏発表することを目標として取り組んだ。②については、伝統芸能アーカイブ&リサーチオフィス(京都市、京都芸術センター)主催の講座シリーズの1つとして、「三味線組歌ってなに?~楽譜から読み解く三味線古歌謡~」と題する本研究の発表の機会(平成30年12月23日、京都芸術センター)におこなった。また、三味線組歌に関して全くご存じない多くの方々に対して、柳川三味線や三味線組歌、その楽譜資料について、実演を交えて解説した。当初70名の定員を設定していたが、講座当日は150名を超える聴衆が集まったため、急遽会場を変更して全員に聴いてもらうことにした。結果として、より多くの方々に三味線組歌を聴いていただくことができ、三味線組歌に対しての関心を集めたことは、有意義であった。③については、3年間の研究途上で、文献資料および楽譜資料としての本研究資料の問題点が見つかり、それらをまとめた。それは、複数の三味線組歌楽譜資料の比較研究は本研究が初めてであるため、これまでの研究では全く触れられてこなかった部分であった。この研究成果は、日本歌謡学会平成30年秋季大会(平成30年11月10日~11日、岩手大学)にて口頭発表した。
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