京都府立総合資料館には、京都を中心に伝承されている柳川流三味線組歌の古楽譜が複数所蔵されている。これまでの三味線組歌研究では、複数の古楽譜を比較した研究は無く、おそらく本研究で初めて、対象資料『五線録』『柳川流本手組大意全書』『三絃独譜』(いずれも写本)の収録内容の整理と比較を行った。その結果、各資料の特質を明らかにすることができた。また、《乱後夜》《晴嵐》の古楽譜を解読し、現行する野川流にも伝承されない《晴嵐》の歌の部分の手と、《乱後夜》末尾に記された「地」の手の復原に取り組み、3部合奏を試みた。復原曲は、柳川流三味線組歌を社会に周知させることを目的として、一般の方々に向けて公開演奏した。
|