研究課題
基盤研究(C)
江戸初期の遊行僧、円空(1632-1695年)が30年以上かけて、東北・北海道・北陸・北関東・東海・関西など、日本の広範囲にわたって制作した仏像・神像の写真撮影を行った。その写真をもとに、各制作地における円空の彫刻様式の特徴を考察し、その様式の変遷を跡付けた。そして東北・北海道に残る円空の初期作である十一面観音立像と観音菩薩坐像、北関東に残る中期の不動明王坐像、岐阜県郡上市美並町の円空ふるさと館、下呂市合掌村円空館所蔵の円空作品のカタログを作成した。
西洋美術史
円空の彫刻作品のカタログ作成は、できるだけ客観性の高い図版資料として写真撮影を行い、今後の円空研究の基礎資料とする点に大きな学術的意義がある。カタログ作成によって先行研究と諸説を整理し、作品を編年順に示すため、今後の円空研究の出発点とすることができる。また日本各地にある円空作品の学術的な調査・研究によって、地方文化の意義と重要性を示し、地方の文化遺産の保存とその価値の再認識へとつなげることができる。