研究課題/領域番号 |
16K02267
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
池上 裕子 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (20507058)
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研究分担者 |
加治屋 健司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70453214)
牧口 千夏 独立行政法人国立美術館京都国立近代美術館, 学芸課, 主任研究員 (90443465)
住友 文彦 東京藝術大学, 大学院国際芸術創造研究科, 准教授 (20537295) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 美術史 / 美学 / オーラル・ヒストリー / 日本美術史 / 戦後美術 / 前衛美術 |
研究実績の概要 |
本研究は、1970年代における美術概念の再構築について、主にオーラルヒストリー(口述史料およびその研究)の手法を用いて明らかにするものである。今年度の聴き取り実績としては、研究代表者である池上が1960年代から70年代にかけて絵画とグラフィック・デザインの領域で活躍した立石紘一氏の夫人である市毛富美子氏と、写真を使用する作家である植松圭二氏の聴き取りを、加治屋健司がもの派の作家である小清水漸と写真家の細江英公を、牧口千夏が写真家の畠山直哉氏の聴き取りを行った。また、本課題の研究協力者である辻泰岳はアメリカで活躍する建築家のショージ・サダオ氏と、メディアアーティストの坂根巌夫氏に、足立元は高濱那江子氏に、細谷修平氏はパフォーマンス系の作家である森山安英氏に聴き取りを行った。今年度に予定していた聴き取り件数を概ね達成し、日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴでの書き起こし公開に向けても順調に研究が進んでいる。なお、市毛富美子氏の書き起こしはすでに公開されている。 また、2017年1月には加治屋健司が勤務する東京大学駒場キャンパスで「政治史のオーラル・ヒストリーから学ぶ」と題したワークショップを開き、慶應大学の清水唯一朗准教授を講師に招き、研究分担者や協力者以外のオブザーバーや博士課程の学生なども複数名が加わって、活発な討議を行った。政治史におけるオーラル・ヒストリーと美術史のそれの相違点と共通点、また聴き取りの技術や姿勢などについて意見交換し、大きな成果を上げた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は予定していた聴き取り件数を概ね達成したこと、また、ワークショップを通じて研究分担者や研究協力者と活発な討議を行ったこと、また、それぞれの研究分担者が複数の研究業績を挙げたことから、本研究課題は概ね順調に進展していると考える。研究分担者の住友文彦氏が多忙を極めたため、本プロジェクトから抜けるという事態に際しても、その他の分担者や協力者によってその活動を補うことができたため、研究に遅滞は生じなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、予定している聴き取りのための調査を入念に行い、聴き取りを実施した後は速やかに書き起こしを公開していくことを一つの軸にして本研究活動を推進していく。平成29年度からは新たに4名の研究分担者が加わるため、本課題のますますの進展が見込まれる。また、7月には東京大学駒場キャンパスで公開シンポジウムを行う予定であり、本課題の研究成果を広く世に周知する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の住友文彦氏が新たに着任した大学で多忙を極め、予算の執行をできないまま研究の分担を外れることとなった。そのため、彼の分担金が未使用となり、次年度に繰り越された。また、研究代表者である池上も、年度内にもう一件聴き取りを行う予定だったが、先方の都合で次年度に延期となっため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度実施予定だった聴き取りを着実に実施する。また、次年度には、新たに参加する研究分担者4名がそれぞれの研究と聴き取りを進めることと、本課題に関するシンポジウムを開催することで、確実に使用できると考える。
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