【情報交換会・研究会】2018年11月12日に本研究の総括となる研究報告会を鹿児島大学で開催した。出席者は研究代表者である下原、研究分担者の山下、研究協力者の久家、鹿児島市立美術館学芸員の山西健夫であった。下原が「『新増書目』と住吉派・板谷派の絵画鑑定及び模写について」という題目で報告し、これまで翻刻した『新増書目』の記事と調査作品との照合を行った。研究会では松浦静山・熙父子の蔵書状況、狩野派の模写や鑑定などの情報提供がなされ、本研究における今後の展開などが話し合われた。【作品調査】2018年6月8日に古美術柳孝(京都市)にて、住吉如慶・住吉具慶・住吉広行の手がけた歌絵4点を山下が調査した。8月20日にも同所にて住吉具慶や住吉広守の歌絵を山下、下原が調査し、作品に関する情報を整理した。この他、下原は8月23・24日に海の見える杜美術館(広島市)にて近世初期の奈良絵本類(「村松物語」等)を調査した。【研究成果の公開】下原が中心となって松浦静山著『新増書目』に記載のある住吉派・板谷派関連の記事を翻刻した。その成果を「『新増書目』翻印-住吉派・板谷派の絵画鑑定及び模写に関する記事を中心に-」(『鹿児島大学教育学部研究紀要』第70巻 2019年3月刊行)にまとめ、掲載した。山下は九州国立博物館で開催された「オークラコレクション」展(2018年10月2日~12月9日)にて住吉派の作品を紹介した。また、10月8日には同展覧会の一環として、「大倉集古館の近世日本絵画-狩野派、琳派など魅力の作品群をめぐって-」と題した講演を行った。
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