研究課題/領域番号 |
16K02277
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研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
仲町 啓子 実践女子大学, 文学部, 教授 (80141125)
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研究分担者 |
山下 善也 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部文化財課, 主任研究員 (40463252)
山盛 弥生 実践女子大学, 香雪記念資料館, 研究員 (90433763)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 女性画家 / 日本女性史 / ジェンダー研究 / 幕末明治初の女性の移動 / 文人趣味 / 女性の社会的活動 |
研究実績の概要 |
実践女子大学香雪記念資料館において、山水画・花鳥画・人物画の幅広いジャンルを網羅する「野口小蘋 -女性南画家の近代-」展(会期:2018年10月8日~12月1日)を開催するとともに、それに関連してシンポジウム(2018年11月17日)を企画し、『女性画家研究 研究成果報告書 野口小蘋 ―女性南画家の近代―』(実践女子大学香雪記念資料館、2019年3月)を刊行した。その報告書では、小蘋の伝記と画業を明らかにするとともに、婚家である山梨の野口家(十一屋)が小蘋に及ぼした影響や、近代日本絵画史における小蘋の位置付けなどを論じた。女性であった小蘋が何故、明治期の日本絵画界で名声を得たのか、また帝室技芸員にまでなった小蘋が、何故近代絵画史から忘却されていったかなど、日本近代絵画史にとっても重要問題の数々を掘り下げた。また同報告書には、今後の研究のための資料として、今や古本でも入手しにくくなっている『小蘋画譜』と『小蘋印譜』(実践女子大学香雪記念資料館蔵)の全図版も掲載した。 張(梁川)紅蘭に関する研究成果は、「張(梁川)紅蘭の旅と絵画」と題して講演(奥の細道むすびの地記念館、2018年8月19日)を行うとともに、「張紅蘭の西遊」(『玉堂清韻社報』第7号、2018年10月)を公にした。夫とともに中国・九州・四国を旅した紅蘭の旅は、まさに清遊と呼ぶにふさわしい前近代的なものであったが、養老の滝や耶馬溪など、近世末期の南画家たちが愛好するようになる新たな「風景」を発見した点では重要な意義が認められる。 実践女子大学香雪記念資料館で開催した「記録された日本美術史-相見香雨・田中一松・土居次義の調査ノート展」(2018年5月12日~6月16日)では、日本における美術史学の草創期から形成期に活躍した3人の先学による研究の中から、女性画家研究を抽出し、全研究の中でのそれらの位置付けを検証した。
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