研究課題/領域番号 |
16K02279
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
水野 僚子 日本女子大学, 人間社会学部, 准教授 (30469209)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 中世 / 絵巻 / 女性像 / データベース / 物語 / イメージ / ジェンダー |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、作品・文献・史料のデータベースの充実化に努めるとともに、完成に向けて、データ等の調整・統一を行った。女性像に関する画像データベースに関しても同様に、更なる充実を図り、データの分析も併せて行った。 一方、文献収集に関しては、美術史・文学・歴史学等の、女性像の生成に関する研究、女性が主人公となる物語(物語絵)の作品研究、身体表象分析や解釈に関する先行研究の収集・読解を行った。特に本年は、ジェンダー論やクイア理論等の文献、それらの理論を身体表象分析に用いた研究論文に注目し、新しい研究の方法や方向性を模索した。 作品調査に関しては、「八幡縁起絵」や「神功皇后縁起」の諸本の調査を行った。特に新出の個人蔵「八幡縁起」には諸本には見られない特異な図像があることがわかり、その図像の典拠を求め、日本・東洋美術の物語絵画や宗教絵画等から類似の図像について調査を行った。また和歌山市立博物館本「竹取物語絵巻」、国学院大学図書館本「竹取物語絵巻」をはじめする御伽草子・奈良絵本の調査も実施した。さらに徳川美術館本「源氏物語絵巻」に関しては、高精細画像のデジタルコンテンツの閲覧を、「春日権現験記絵」は高精細画像データを用い、彩色技法、顔料等の検討も行った。海外調査に関しては、許可が出たものの、日程の調整がつかず、複数回の渡航を避けるためもあり、次年度にまとめて実施することとした。 個別の作品研究に関しては、現在「彦火々出見尊絵巻」に関する論考を纏めている。研究成果の一部はすでに研究会等で発表し、歴史学・民俗学・美術史の研究者から多くの意見を頂戴した。さらなる調査が必要となったことから、今年度の論文発表は見送り、来年度の秋頃、論文として発表する予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度実施する予定であった海外調査は、日程の調整が難しく、実施することはできなかったが、データベースの作成、文献資料の調査、個別の作品調査などは、順調に行うことができている。海外調査に関してはすでに許可は得ているため、継続して交渉を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度計画通りに実施することができなかった、海外調査を来年度は確実に実施し、その成果をデータベースに反映させることを早急に行いたい。またデータベースは研究期間終了後にもデータの追加を簡単にできるように、別個構築しているデータベースをできる限り統合整理を進める予定である。論文および口頭発表も引き続き随時行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度実施する予定であった海外調査が延期となったため、旅費として繰り越した。
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