研究課題/領域番号 |
16K02286
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研究機関 | 大阪芸術大学 |
研究代表者 |
五十嵐 公一 大阪芸術大学, 芸術学部, 教授 (50769982)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 京狩野家 / 鶴澤家 / 京都 / 絵師 / 江戸時代 |
研究実績の概要 |
前年度に続き、京狩野家と鶴澤家の絵師たちに関する作品と史料の情報集積を行い、その成果を図書と論文で発表した。 京狩野家の絵師については、特に4代当主・狩野永敬の弟の狩野永梢、および5代当主・狩野永伯に注目した。その成果が論文「狩野永梢について」「狩野永伯について―京狩野家の相続と維持―」につながった。永梢と永伯は興味深い作品を描いた絵師であることが以前から知られていた。京狩野家あるいは近世京都画壇で一定の役割を果たしたことが予想できていたのだが、その実態がよく分からなかった。この二本の論文で彼らの画業、事績の全貌が明らかになったとまでは言えない。しかし、多くの新出史料、新出作品を紹介したので、今後の研究の基礎になると思われる。また、全くの想定外だったのだが、3代当主・狩野永納が描いた未紹介の屏風が見つかった。後西天皇の譲位式、霊元天皇の即位式を描いたと思われる六曲一双屏風である。2018年度、この屏風が京都国立博物館の特集展示で公開されることになった。そこで急遽その研究にも着手した。公開に合わせ、次年度に研究成果を発表する予定である。 鶴澤家の絵師については、特に7代当主・鶴澤探真に注目した。探真は鶴澤家当主として明治維新を迎えた絵師である。幕末明治の京都の絵師たちの動向を考える場合、最も注目すべき絵師の一人と言ってよい。そこで『天皇の美術史 5 朝廷権威の復興と京都画壇』で探真の事績を追いながら、幕末明治の京都画壇について論じた。 また、『天皇の美術史 4 雅の近世、花開く宮廷絵画』で江戸時代前期について論じた際、京狩野家と鶴澤家についても触れた。 京狩野家と鶴澤家に関する史料が着実に蓄積されている。次年度以降にも着実な成果が得られる可能性が高い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
京狩野家と鶴澤家について論じた図書および論文が複数発表でき、京狩野家と鶴澤家に関する史料と作品の情報も着実に蓄積されている。また、全く想定していなかった京狩野家の絵師による未紹介作品が出現したことにより、当初の研究計画に加え、その作品の研究にも着手することになった。これは本研究の内容を高めることにつながるはずである。 以上の点を踏まえ、研究の進捗状況は順調だと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度の成果を踏まえ、京狩野家と鶴澤家の絵師たちに関する作品と史料の情報集積を更に進めてゆく。また、2016年度、2017年度と同様に今後もその成果を図書、論文あるいは口頭で発表してゆく。可能な限り大きな成果をあげたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費に関して、予定していたより若干少額の支出で済ませることができたため。
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