研究課題/領域番号 |
16K02288
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
河崎 晃一 甲南女子大学, 文学部, 教授 (20720387)
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研究分担者 |
平井 章一 独立行政法人国立美術館京都国立近代美術館, 学芸課, 主任研究員 (30640255)
谷口 英理 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, 企画課, 研究員 (40422513)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 具体 / アーカイブ / 映像資料 / デジタル化 / データベース |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本を代表する戦後日本美術グループであり、近年は欧米でも活発な研究が進んでいる具体美術協会(以下「具体」と略)の活動や作品の意義を、具体」関係者の遺族などから大阪市に寄贈された大量の記録写真や写真映像の検証、分析によって考察するとともに、考察の家庭で構築した記録写真や記録映像のデータベースをインターネットにより研究者に公開し、国内外における「具体」研究の活性化に寄与することにある。記録写真や記録映像に基づく研究は、戦後日本の前衛美術史研究にとって、不可欠かつ本質的なアプローチと言える。それらは、今後日本美術を世界的視野で捉えるための重要な研究対象となる。このことを踏まえて、平成28年度は、まず資料全体の整理と分類と劣化が激しい資料への処置などを行った。 平成29年度は、記録写真、写真映像の一つ一つがいつ撮影されたものであるか、何が写(映)っているか、その内容を記録していく課題1「被写体の検証、分析に基づく研究」に特に集中的に取り組んだ。また、本研究の先進事例を調査するため、研究協力者である大阪新美術館建設準備室の資料担当学芸員(松山ひとみ)が渡米、ニューヨーク近代美術館、ホイットニー美術館、フリーア美術館&アーサー・M・サックラー・ギャラリーなど西海岸ではゲティ・リサーチ・インスティチュート、バークレー美術館&パシフィックフィルムアーカイブなどに赴いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、アルバイトを雇用し書籍、映像以外の資料の種分けスキャニングを進めた。課題1の「被写体の検証、分析に基づく研究」の進め方については、平井、河﨑が方法論を検討し、年代ごと(1954=1972)の紙焼きラッシュのデータ化を進め、それら被写体の1コマ1コマの期日、内容、人名などを記載するその準備を始めた。課題2については、谷口が引き続き写真映像の研究を行い、課題3「日本の現代美術に関する文化資源の活用方法の研究」については、谷口が中心となり大阪新美術館準備室建設の資料担当に渡米のための調査内容を指示した。アーカイブの先進国であるアメリカの美術館を調査したことは今回の研究の大きな実績となる。電子記録アーカイブ(資料のデジタル化)、専門の担当者の雇用(アーキビスト)、閲覧体制などを中心に調査し、今後報告会を開きその内容をまとめていく。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、最終年度であり、それぞれの課題を達成していく。10月から11月をめどに総括報告書を作成し、プロジエクト内のチェックを兼ねた報告会を開催する。成果物として、課題1の「被写体の検証、分析に基づく研究」では、資料ファイルに残された写真の内容を記述したファイルを作成する。課題2については、谷口が写真映像の研究をまとめる。課題3「日本の現代美術に関する文化資源の活用方法の研究」では、アメリカの美術館のアーカイブ保存に関する報告をもとに、今後大阪新美術館準備室建設がどの様なかたちで資料を後悔していくことができるかを提言していく。それらの最終目的を達成するために、総括的な視野から研究者が意見交換を推進し、最終報告書へとまとめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平井、谷口に割り当てられた予算額が、当初の予定から変更があったため差額が生じた。翌年度(30年度)は、それらを見直し適性は配分を行う。
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