研究課題/領域番号 |
16K02293
|
研究機関 | 山梨県立博物館 |
研究代表者 |
近藤 暁子 山梨県立博物館, 山梨県立博物館, 学芸員 (80574152)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 木喰 / 行道 |
研究実績の概要 |
今年度は、木喰行道の多仏作例について、参考書籍等により、これまでの研究成果などから整理を進めた。 加えて、特に東海地方の作例について、展覧会出品作例などを中心に視察・予備調査を行った。また、多仏作例の初期の作例にあたる、宮崎県国分寺所在の五智如来像(寛政6年・1974)を視察するなどした。本作はその大きさが2メートルほどにも及ぶ特筆すべきものであり、また構造的にも独特な形式・工夫がみられる。さらに当地に伝わる伝承などから、その制作は地元の人物の手を借りて行ったものと言われ、池に巨木を浮かべて制作したなどとも言われ、通常の仏像制作ではなされないと思われる方法がとられていることが推察される。こうしたことから、木喰の作仏行為に対する取り組み方や、多仏制作を志した契機について考察するうえで、本作は非常に重要な作例と思われる。 なお、初期作例のひとつである北海道正隆寺(古平郡古平町)所蔵子安地蔵菩薩立像について、これまでの調査結果をまとめた。赤外線撮影の結果、背面に墨書がなされていることが確認されたこと、これまで指摘されることのあった木食白道による制作の可能性について作風や様式の検討などから否定されることなどについて、資料紹介として山梨県立博物館研究紀要第11集(2017年3月刊行)に掲載した。これにより、北海道での木喰の活動範囲がこれまで想定されていた以上に広まる可能性を提示することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
所属の業務の増加により、十分な研究時間が確保できなかったため、行道の初期作例ならびに多仏作例関連の情報整理が滞り、それをもとにした現地調査も遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き行道の事績に関する整理を進め、現地調査の実施に努める。さらにその結果をさらなる事績整理に反映させるべく検討し、将来的に論文等で広く成果を公表できるように努める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
所属業務等の増加により十分な研究時間が確保できなかったため、研究計画の遂行が遅れているため。
|
次年度使用額の使用計画 |
現地調査(旅費)を実施し、その調査ならびに結果について調査協力者等と情報を共有し検討する機会を設ける(人件費・謝金)など、計画的な執行に努める。
|