本研究は、近世作仏聖の宗教活動の中でも作仏活動と宗教観との関連性について、木喰行道の現存作例と、活動を通じて解明することを目的とした。その手段として、行道が行った多仏制作に着目した。多仏制作は他の作仏聖にも共通することである。調査は行道の作品の中でも、生涯最大の数を誇った群像「四国堂」安置諸像を中心に進め、写真資料と基本データの収集に努めた。収集データ分析の結果、群像制作の際、同一の尊像の造形に変化を持たせるなど、単に数だけを求めたわけではない様子が確認された。以上のような成果により、今後の作仏聖の造像活動に対する研究に、新たな局面を開くことができた。
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