最終年度では、①韓国の文化政策の現状についてレクチャーを実施、②韓国光州市のアジア文化中心都市政策に関するシンポジウム開催、③3年間の研究成果をまとめた論文を北海道教育大学紀要に掲載した。 ①行政職員、文化芸術関係者、一般市民等を対象に、「文化で次代を拓く!隣国 韓国の場合~過去・現在・未来~」というタイトルで韓国の文化政策について話した。内容としては、政権別の文化政策の特徴を説明した上、現在、最も主力している文化政策の事例を紹介し、北海道・札幌が進むべき文化政策の在り方について検討した。 ②光州市からパネリスト2名(アジア文化院経営革新本部長、アジア文化中心都市フォーラム都市環境分科委員長)をお迎えし、シンポジウム「光州アジア文化中心都市の過去・現在・未来」を開催した。前半は光州のアジア文化中心都市事業やアジア文化殿堂の現状について紹介し、現状及び課題について議論を交わした。 ③ 「韓国における盧武鉉政権までの地域文化政策~光州アジア文化中心都市造成事業にみる政策姿勢~」というタイトルで論文を執筆した。韓国は国内の地域文化の在り方や発展に対して国主導の政策が極めて大きく関与している。本論文ではその「主導性」について,「文化中心都市」という新しい概念の政策を打ち出した盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権までの歴史的変遷を追う。特に,大統領選挙の盧武鉉マニフェストから始まった「アジア文化中心都市造成事業」を国主導による文化政策の象徴的事例として取り上げ,その現状を把握し,国主導による地域文化政策の変容を考察し,政策姿勢を明らかにした。
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