20世紀初頭の20年間にほとんどのレスピーギ歌曲が作曲されているが、これらの深層を探ることによって、同時代の欧州文化あるいは古代ギリシャ・ローマ、またキリスト教世界との関係性が浮かび上がった。 レスピーギは当時の音楽界では最先端であったドビュッシーやスクリャービンらの語法を逸早く取り込んで、当時すでに多くの国の言語に翻訳され読まれていたネグリやダンヌンツィオらの詩を用いて歌曲を作曲したことで、同時代の他の文化事象といかに深くかかわっているかが判明した。 これらの研究で得た知見は、レスピーギ歌曲あるいは近代イタリア歌曲の今後の演奏や鑑賞に、新しい地平を切り開くものである。
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